態と

テーマ:言葉・漢字
「ねこ、くま、おおかみ、たぬき、きつね」、この中で仲間はずれはどれでしょう?なんていうクイズ聞いたことありませんか?皆さんのお答えを聞いている暇がないので早速答えを申しますが、これが何と「くまさん」。やっぱりなぁ、あの人はこのあたりにはちょっとや~りそうにない人やさかいなあ。じゃないですよ、理由は。

それぞれを漢字に直すとわかります。「猫、熊、狼、狸、狐」。はい、そうですね。けもの偏がつかないのは「熊」だけというわけ。ふん、じゃあ、何で「くま」は「熊」という字を与えられたのか?

「熊」の上の部分、つまり「能」という字は、「肉(月)+かめの足(ヒヒ)+ム(音符)」の会意兼形声文字で、亀や熊のようにねばり強い力を備えて働くこと」を表すそうです。

ここから転じて、「ねばり強くて長く燃える獣のあぶら肉」を意味し、「熊」という字は「能+火(れっか)」ですから、「肥えて脂肪の乗ったくまの肉がよく燃えること」を示した字なんだそうです。熊は昔、「火の精」である獣と考えられたんですね。

さて、タイトルの「態と」。ここまで読むと、♪ある~日、森の中、的な話かと思うでしょうけど、よく見るとこれは「熊」ではなく「態度」の「態」の字。さて「態と」と書いて何と読む?例によって皆さんのご意見を拝聴する時間はございませんので申し上げますが、「わざと」と読みます。で、「わざわざ」は「態々」と書く。

「態」という字は「能+心」ですから、「ねばり強い力でがんばれるぞという心構え」を意味するわけですが、いかにも「そういう気持ちを持ってるぞ」と、うわべをつくろって、それらしく見せる輩が現れて、そういう人たちの様子をも「態」という字で表すようになったようです。

例えば「態色」とは「わざとらしい顔つきや態度」。「態臣」は「主君にこびへつらって愛されようという臣下」。日本語にはこういう言葉はありませんが、その意味だけが伝わって日本語の「わざと」という字に充てられたものと推察いたします。minoriさん、これでご疑問の回答になりましたでしょうか?    

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