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東座歌舞伎へ

テーマ:曳山・歌舞伎
昨日、岐阜県の白川町黒川というところにある東座(あずまざ)の歌舞伎定期公演に行ってまいりました。と言っても見物にではなく、上演された6演目のうちの一つ「車曳」の太夫として出演させていただきました。
「ゐ」は、いろはで25回目を表す
車で長浜から2時間20分、本当に長閑な山中にある芝居小屋ですが、明治時代に建てられたものを平成3年に修復。その時の記念公演に招かれた縁で故中村勘三郎さん(当時勘九郎)が名誉館主に就任。

現在は息子さんの勘九郎さんが名誉館主になっておられ、来月来館される予定だったそうですが、中村獅童さんの結婚式が重なったため、来館は1年先送りになったようです。
東座の外観
舞台正面上の大看板
開演前の客席

演じられたのは「寿式三番叟」「曽我対面」「松王下屋敷」「白浪五人男」「車曳」「二月堂」で、このうち三番叟、対面、五人男は小中学生による子ども歌舞伎。先日お亡くなりになられた中村津多七先生が長年歌舞伎指導に当たって来られ、今回は師の追悼公演とも銘打たれておりました。

私自身も津多七先生には大変お世話になりましたので、恩返しのつもりで精一杯務めさせていただきました。町民のみならず岐阜県内外から大勢のお客さんがお越しになり600人収容の客席は満席状態。大歌舞伎並みの大向うも掛けられていました。
花道脇より松王下屋敷
客席からはおひねりも

さて、リハーサルのため前日土曜日から現地入りしたのですが、夜は三味線さんと町内唯一のスナックへ。ここのママさんも東座歌舞伎のスタッフでかつては矢口のお舟や野崎村のお光を演じる名役者だったとのこと。お孫さんは今回「対面」に出演されておりました。

それにしても九州出身で現在中津川在住の三味線のR太さん、よう飲む飲む。この日は生ビール10杯くらい飲んでましたが、聞くと30杯飲んでも平気だとか。三味線さんご夫妻はもちろん、振付の高女先生、太夫の美巧先生、そして大変親切にして下さったスタッフの皆様方本当にお世話になりました。ありがとうございました。






曳山祭とお寺の関係

テーマ:曳山・歌舞伎
昨日は父の月命日ということで例月の如くごえんさんに月参りをしていただきました。お勤めが終わった後、少しお話をさせていただくわけですが、今回の話題は何と言っても曳山祭。

ここのお寺は大手門通りにございまして、お御堂が大手町壽山の稽古場として毎回使用されています。神事にお寺を使うの?という疑問がございますでしょうし、おそらく当初は山組に貸すことに門徒内でも賛否両論があったに違いありません。

さらに、ごえんさんのご子息が前回に引き続き役者として出場され、今回は主役の鳴神上人役。残念ながら、生ではお旅で終了間際を少し見ただけだったのですが、ZTVの放映で立派な演技を拝見し、「上手に演らありましたなぁ」と感想を正直にごえんさんにお伝えいたしました。

しかし稽古開始時は息子さんも振付の先生もかなり悲観的だったそうで、その後は猛特訓。マンツーマンや主役二人と先生だけの非公開稽古もあったそうです。総合的な芝居の評価は別として、個人の役者としての出来は今年一番だったかも。

「しかし八幡さんでの雷には驚きましたな」「そうそう、御旅所でも大手の芝居の時だけ雨が降りましたし」。鳴神という演目が雨を呼んだというもっぱらの評判でしたが、当の壽山組は祭の期間中、両神前以外はアーケード内で芝居を打つため、実際のところ他町ほどは雨の心配をしないんだそうです。羨ましい。

さて、稽古場としてお御堂を貸すことは従前からのことですが、ご子息が役者として出場したのは当寺としても初めてだったため、内外から批判もあったようですし、山組に属する他寺の住職などは「うちは絶対そんなことはさせん」とおっしゃっていたようです。

しかし、ごえんさん、屈することなく、「曳山祭は義務やと言いながらも、みんなが集まってきて結束して昼夜も分かたず町のために何かしようと頑張るし、こんなすごいことはない。それに比べてお寺はどうですか?もっと考えんとあかんのちゃいますやろか」と言われたそうです。

曳山祭のパワーもさることながら、それを肌で感じて、お寺のあり方も自省し改善しようとなさる、このごえんさんもすごい。まだ若いのですが門徒であることが誇らしくなるごえんさんです。

津多七先生ご逝去

テーマ:曳山・歌舞伎
6年前に「伝統を守った『たあけ』」というタイトルで書いたことがありましたが、日本で最も地歌舞伎が盛んと言われる東濃地域で振付師そして保存会の事務局長として活躍されてきた中村津多七先生が一昨日64歳の若さでお亡くなりになりました。

先生との出会いは今から7年前。垂井の曳山祭に初めて太夫として出場させていただいた時の振付さんで、以来垂井で4回ご一緒させていただきました。御自身太夫もなさっていたこともあり、助言をいただいたり昔の文楽の大夫さんのCDを頂いたりもしておりました。

ご自身の著作にも書かれていた通り、重度のアル中を克服され歌舞伎道に没頭されて来たわけですが、昨年垂井祭の後、体調不良で受診されたところ咽頭がんであることが発覚。抗癌剤と放射線治療を続けて来られましたが、去る4月14日に呼吸困難で地元中津川市民病院に緊急入院。

ちょうど長浜曳山祭の真っ最中でしたが、奥様から三役修業塾生の一人に、「顔を見せに来て下さるのなら意識があるうちに」と先が長くないことを示唆する電話連絡が入りました。

祭が終わった後の土日は事務員さんが休暇を取っておられたので店を空けられず、今週火曜日に行こうと思っていたところ、息子が免許書換ついでに帰省したため、三役塾同僚のIさんと急遽18日の土曜日にお見舞いに行ってまいりました。

喉は癌でふさがっており経鼻チューブで苦しそうに呼吸をされており、瞳孔は半開き。私たちのことはわかって反応して下さり、何か言葉を発しておられるのですが残念ながら理解することはできませんでした。

今年の垂井祭も振付をすべく準備をされて来たのですが、とてもその状態にはなく、長年ゆう歌舞伎で役者として活躍、三役修業塾生でもある七里八須子(岩井小紫八)さんが代理で振付をされることに。以前、曳山博物館子供歌舞伎の振付経験もあり、近年は長浜祭でも三番叟の振付指導を行っておられます。

津多七先生のご冥福を祈るとともに、最後まで気がかりにされていた垂井の曳山祭、立派な芸に仕上げて旅立ちの手向けとしていただきたいと切に願わざるを得ません。津多七先生、長い間本当にありがとうございました。安らかにお眠り下さい。

千穐万歳

テーマ:曳山・歌舞伎
昨日は午後8時から鳳凰山山蔵前にて千穐楽。今年は自身長浜の祭で初めて「置き浄瑠璃」、つまり♪めでたけれ~の後に、何が何してなんとやらと一節語るやつをやったのですが、中にひときわ、チン、チンの後の「ほうおうざん」を思い切り「ほう~~~~おうおうおう~~ざ~ん」と張り切りすぎて脳が酸欠状態に。

今回の仮名手本忠臣蔵九段目山科閑居は、若衆筆頭のK君のたっての希望で決まった演目ですが、戦後初めての上演、しかもプロが演っても難しい芝居で、浄瑠璃がこれまた難曲、今までに聞いたことのない節回しや間(ま)が登場して最後まで悩みました。

それでも振付さんの指導、役者諸君の頑張りは見事で、結果的には最近やや廃れがちな純粋な義太夫狂言の牙城を守る「いい芝居」になったのではないかと思います。私の浄瑠璃も最初のうちは、芸を「邪魔しな閑居」から最後は「ややましな閑居」くらいにはなったかな?

思えば小学校5年の時に2回目の役者で出場する予定が祖母の急死で叶わなくなった時の芸題が「碁盤太平記」いわゆる元禄忠臣蔵の山科閑居でした。今回、仮名手本忠臣蔵の山科閑居を語れたことで自分の中での仇討ちはできたような気がいたします。

今回はプロの尺八奏者の武田旺山氏が劇中生演奏で「鶴の巣籠」を演奏して下さいましたが、こんな近くでプロの笛の音を堪能することができる幸せにも恵まれました。楽器といえば、太夫にとって「歯」こそが楽器であると聞いたことがあります。

大層疲れましたので帰ってバタンキューだったのですが、夜中につばを飲み込むと喉の痛みを感じ、その都度歯をくいしばって耐えている自分に気がつきました。知らず知らずのうちに色々なところで歯を酷使しているのかもしれません。


くいしばり かみしみて する 義太夫や
遠からずうち ぎしうち入る


山科閑居の後、義士は討ち入っても、義歯は打ち入れたくないものです。ご高覧いただきました皆様、鳳凰山の関係者の皆様に心より感謝申し上げます。ありがとうございました。

外題検討会議裏話

テーマ:曳山・歌舞伎
昨日、子供歌舞伎の外題の話をしましたが、4/2(木)に初めて鳳凰山の稽古に太夫として参加した折、終了後当町の中老でもある三味線の賀祝さんが「ちょっと2階で一杯やらんかいな。中老席になったるし」と。

ハイハイとばかりに付いて2階に上がりますと、そこには私たちと同世代の鳳凰山負担人、筆頭経験者の面々がずらり。テーブルの上にはビール、つまみはともかく、広辞苑やら漢和辞典等その場にそぐわないものが。

「何してるんですか?」と尋ねますと、何と今年度の外題を考案中なんだとか。これまでは振付さんや町内の気のある中老さんが考えておられたそうですが、今年は状況が変わり負担人を中心とする若手中老で会議をして決めることになった、と。

負担人さんの手元にはノートが置いてあって、「尺八、親子の情愛、本懐、雪、仇討」等々、今回の演目のキーワードになるような言葉が羅列されておりましたが、なかなか5文字ないし7文字の外題に仕立て上げるのは至難の業のようです。

加古川本蔵が虚無僧姿で現れ、尺八で鶴の巣籠を吹く場面は見せ場の一つ。どなたかが提案された「尺八漢本懐(しゃくはちおとこのほんかい)」という外題はなかなか強烈で出席者各位の胸を打つものがありましたが、どうも他意に誤解される恐れがあるとして、とりあえず裏外題として措かれることに。

で、この日は長浜出身で鳳凰山にもゆかりのあるプロの尺八奏者武田旺山氏も稽古に参加。氏の助言も仰ぐことに。「尺八を他の言葉に言い換えると?」という質問に、旺山氏「尺八のことは一節切(ひとよぎり)と言いまして、これは力弥、小浪の夫婦も一夜ぎりということも掛けてます」と。

全員声を一にして「流石!」の声で、とりあえず「一節切」の三文字は決定。残りの二文字については、あ~でもない、こうでもないと言い合ううちに、K書店さんが提案した「暁雪(あかつきのゆき)」に決定。本意を遂げる「〇〇の暁に」という意味も込められているようです。

最後に余計ながら「一節切」の「切」を「契」に変えて「一節契」としてはどうかという拙案も採用され、「暁雪一節契(あかつきのゆきひとよぎり)」の外題完成。こういう会議もなかなか楽しいものですね。

ついに日の目を見た裏外題


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