周章狼狽

テーマ:まちづくり
今年の盆梅展の入館者は48千人と昨年の約2/3に落ち込んだそうです。まあ、ピークの2月にあれだけ大雪が降ればやむなし、とも思うのですが、盆梅の観光客をターゲットに生計を立てているところは、あわてたり、うろたえたりと大変だったろうと思います。

さて「うろたえる」といえば、先日素義会で発表した「弁慶上使」という演目の浄瑠璃の台本を師匠からいただいて稽古し始めた時に、「狼狽ゆる」という字を見て、一瞬「???」と考えてしまいました。咄嗟に「うろたゆる」と読んで正解だったのですが、こんな書き方もあるんだな、と思ったものです。

ところが「うろたえる」って辞書で引くと漢字では「狼狽える」としか出て来ないんですね。ロウバイエルなんて読んじゃいそうですね。エスバイエルなら知ってるけど。

「狼狽」の「狼」も「狽」も「おおかみ」のことなんですってね。「狼」は前足が長くて後ろ足が短く、「狽」はその逆。「狽」が「狼」の後ろから乗っかって常に一緒に行動しているのですが、離れるとバランスを失って倒れるので、あわてうろたえる、というわけです。

一方、「あわてる」の方の漢字は「慌てる」。「心」が「荒れる」と書きますから、何となくわからんでもない。ところがもう一つ「周章てる」とも書くようです。何だか一瞬人の名前かと見まごうような。「周章」さんなんて姓の方いらっしゃりそうだし、「てる」という古風な名前のおばあちゃん。

「周章」という言葉の語源由来についてはよくわからないのですが、いずれにせよ、この「周章」と先の「狼狽」を合わせると、「周章狼狽」という四字熟語が完成し「あわてふためく」という意味。

さて、冒頭の盆梅展ですが、平成4年以降入館者は10万人を超え、秀吉博が開かれた平成8年は16万人だったそうです。平成19年までは10万人以上を維持していましたが、翌20年は85千人に急減。以降21年が73千、22年が74千、昨年が72千人と、ピーク時の半分以下になっていたんですね。

そこからの33%減!ですから、これはまさに「周章狼狽」する状況ではないでしょうか。長い伝統を誇る新春の長浜の風物詩。「終章老梅」とならないことを祈ります。

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