参らせ候

テーマ:曳山・歌舞伎
3月25日(日)に米原文化産業交流会館「長栄座」で、伝統文化継承事業の一環として素浄瑠璃を発表することになりまして、現在三役修業塾で稽古に取り組んでおります。演目は「仮名手本忠臣蔵七段目」。これを役柄別に3人の大夫で語り分けいたします。(ちなみに入場無料)

私は、大星由良之助(いわゆる大石内蔵助)を担当するのですが、祇園の一力茶屋で遊興にふけっているところに届いた御台所(塩谷判官いわゆる浅野内匠頭の妻)から届いた手紙を読んでいるところを、遊女お軽に二階から盗み読まれて「さあ大変」といった場面を語ります。

酔っ払っているんだけれど、心の中は敵討をど真剣に考えている、という複雑な身体的、心理的状況を表現しなければなりませんので、とても私など素人に務まる役ではないのですが、ちょっとエッチな由良之助を楽しく演じたいと考えております。

さて、前述いたしました御台所からの手紙を読んでいるところの浄瑠璃ですが、「♪あたり見回し由良之助、吊灯籠の明かりを照らし読む長文(ながぶみ)は御台より、敵の様子細々(こまごま)と」とあって、その後「♪女の文(ふみ)の後や先、参らせ候(まいらせそろ)ではかどらず」と続きます。

はて、女の手紙というのは読むのに時間がかかるってことなんでしょうか。その理由として「後や先」つまり、内容が先になったり後になったり、とりとめがない。それから「参らせ候で」とある。何じゃこりゃ?

と思いまして調べますと、昔は女性が手紙を書く場合、語尾にはこの「参らせ候」という文言をつけるのがお決まりだったんだそうですね。「毎日ブログを書き参らせ候」とか「瓶を1008本洗い参らせ候」とか「つまづいて足の骨を折り参らせ候」とか、何でもかんでも「参らせ候」をつけたようです。そりゃもどかしかろうし、読みにくかろ。

いちいち「参らせ候」と書くのが大変なんで、このように略字というか続け書きみたいのもあったようで、その字が虚無僧の姿に似ているので、「虚無僧」のことを「参らせ候」と呼んだりもしたそうです。

さらには、もっぱら手紙文に使われた言葉なので、やがて「手紙」特に「恋文」のことを「参らせ候」と呼ぶようになったとか。今日23日は毎月ふみの日だそうですが、皆様の元には参らせ候は参らせ候かや?

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