怏と快

テーマ:言葉・漢字
先日、「怪我」の「怪」の字を漢和大字典で調べていたら、一つ前の字が「怏」という字。一瞬、「快い」の「快」の字に見えたのですが、意味が「うらむ」と書いてある。

おかしいなぁ、ともう一度じっくり見ると、旁が「夬」ではなく、中央の「央」の字ではありませんか。ほ~ぉ、こんな字もあるんや。「怏怏」と書いて「おうおう」と読み、「不満があってうっとおしいさま」とあります。

「こころよい」の「快」とは意味が真逆ですよね。そもそも、「央(おう)」という字は、「大(ひと)の首にH印のわくをはめて押さえたさま」を表し、これに「心」がついて「怏」になると「上から押さえられた憂鬱な感じのすること」となるみたい。

一方の「快」の旁の「夬(カイ)」の方はというと、「『コ印+手の形』から成り、コ型にえぐりとることをあらわす」とあります。で、これが「心」とくっついて「快」になると、「心中のしこりをえぐりとった感じのこと。もたもたとつかえるもののない、さわやかな気持ち」となるわけですね。

全く似たような文字なのに意味が正反対。間違えてしまうことも「おうおう」にしてあるでしょう。そう言えば、「おうおう」って「大大」とか「多多」とかいう字を書きそうな気がしますけど、「往往にして」と書くんですね。

東日本大震災から今日で丸一年。今日の新聞はほとんどが震災関連の記事。依然として「怏怏とした」日々を送る数多くの被災者。一日も早く心中のしこりをえぐりとれる日が来ることを祈るとともに、平穏な日々を送らせていただいている私たちも、「快」一瞬にして「怏」となるべし、を心しておきたいと思います。

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