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心を騒がせるな

テーマ:よもやま話
日本では生まれた時は神道式、結婚式はキリスト教式、お葬式は仏教式というのが通例になっているような気がいたしますが、昨日私が参列したM印刷商事会長のお通夜は長浜では極めて珍しいキリスト教式で執行されました。

キリスト教式の葬儀に出席するのは生まれてこのかた2回目かな?1回目はクリスチャンであった叔母のお葬式。私が中学生の時で神戸で行われたのですが、召天されてハッピーといった雰囲気で仏教の湿っぽい葬儀とは違って、むしろ清々しさすら感じた記憶があります。

キリスト教ではお通夜と言わず前夜式と称するようで、2名の牧師さんが司会者と司式者を務められ、仏教でいうと導師に当たるのが司式者なのでしょうか、これは故人の実のご令弟がお務めになりました。

黙祷から始まり、祈り、聖書の朗読、祈祷、賛美歌、感話、頌栄、終祷と普段の葬式とは全く異なるスタイルで進行されて参ります。賛美歌は結婚式の時にも必ず出てまいります312番の「いつくしみ深き」。ま、これが正信偈の代り、と言っては失礼か。

普段歌い慣れてなくても結婚式などでは、つい大声をあげて歌ってしまいますが、さすがに葬儀ではそういう気にもならず、近年稀に見る多数の参列者でしたが、多くの方がとまどいながら流れに応じているといった様相でした。

終わりに遺族代表としてご長男の現社長がご挨拶をなされ、その後に献花が行われました。仏教でいいますと焼香ということになるわけですが、献花が済んだ方から退席していくという形でした。参列者が多数ですので敢えてこういうスタイルになったのか、元来そういうものなのかはよくわかりませんでした。

さて、司式者の感話の中で、ヨハネの福音書の中にあるキリストの言葉が紹介されました。親しき人の死に際して「心を騒がせるな。神を信じなさい」と言われたキリスト。パウロのように「喜ぶ者と共に喜び、悲しむ者と共に泣け」というのはわかりやすいが、人が死んで悲しいのに「心を騒がせるな」とはどういうことなのか?

つまり、これは死んだ後も天にはあなたの居場所があるという確証があっての言葉だというわけです。そういう心の安寧が私がかつて叔母の葬式で感じたような独特の雰囲気を醸し出すものなのか、それでもなお、日本でキリスト教がさほど普及しないのは何故なのか、そんなことを考えながら葬儀場を後にいたしました。
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