テーマ:言葉・漢字
昨日ネタにしました祭屋台等製作修理技術者研修会、終了後は交流会が催されました。親睦会、懇親会、色々な呼び方がなされますが、要は宴会。宴会の「宴」は「うたげ」と読みますが、うたげと言うとちょっと雅な感じがしまして、一般的には使いませんね。

さて「万葉びとの宴」(上野誠/講談社現代新書)という本に次のように宴の語源が書いてありました。

現在でも「打ち上げ」という言葉はよく使いますが、古来祭祀や儀式を行うためには多くの人々の協力が不可欠で、そうした協力者を慰労するために酒席を設けることを「打ち上ぐ」と言ったそうです。手を打って上げる、つまりけじめをつける行為ですな。

「打ち上げ」が縮まって「うたげ」になったということみたいですが、言葉としては「打ち上げ」が平社員のままだとすると、「うたげ」の方は随分とお高い身分に出世あそばれたという感じがいたします。

同書には「宴」を指す言葉がいくつか挙げられていたのですが、その一つが「直会(なおらひ)」。これは祭や神社関係の行事によく使われますね。これは本来「直り合う(なほり+あふ)」という言葉で、これまた居住まいを正す、つまりけじめをつけるということなんだそうです。

京都では「足洗い」と称する言い方があり、ともすると別の意味にとらえてしまいそうですが、(祭などの行事から)足を洗って翌日からは普段の生活に戻るということだとか。そう言えば米原の曳山祭では「板流し」という表現が使われていたような気がします。

さらに「豊明(とよのあかり)」という用語もあるそうです。「酒を飲んで頬が赤くなること」から、または「ぜいたくに明かりを灯すことのできた盛宴」をそういった可能性もあるとのことですが、一度使ってみたい雅なことばでござりまするな。

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