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玄海だな

テーマ:旅日記
6/17の早朝6時汽車で長浜を出発した長浜専門店会の総勢8名。新幹線で博多に到着後レンタカーでいきなり昼食会場へ向かいます。当初、呼子のイカをという話も出ましたが、漁船で迎えに来てくれる漁師料理の店があることがわかり俄然盛り上がり、数カ月前に予約。

佐賀県玄海町の仮屋漁港に到着すると
お~、この船だ、この船だ
さあ、乗り込むぞ

漁船の運転手はちょっぴり笹野高史さん似のおじさんで、実はこの方が店の経営者であり料理人。船は半島の先端に建つお店に向かって湾内を10分ほどかけて走っていきます。

降船後歩いて丘の上のお店へ
店は民宿風の建物
ご自分で建てられたそうで、電柱も当家専用で隣家は4km先。けもの道を伝っていけば来られなくはないものの、船で移動した方が安全で早いという。店の名は「魚山人(ぎょさんじん)」。1日に昼夜一組づつしか受け入れない完全予約制。

海の隠れ家的な雰囲気に惹かれてか、かのカルロス・ゴーンや料理の鉄人坂井シェフなど多くの有名人がお忍びで訪れる、知る人ぞ知る有名店らしい。

さあまずはお刺身から
採れたてのヒラメ、鯛、かわはぎ。「但しわさびは使いませんよぉ。醤油に自家製のゆずこしょうで食べていただきます。」と。見慣れた緑色のそれではなく、赤唐辛子を使った瓶入りの赤いゆず胡椒が配られます。蓋には「うに」と書かれています。

半信半疑で醤油に溶かして食してみましたが、これが合う合う。甘い九州の醤油にはこちらの方が相性がいいのかもしれません。さらに刺身のつまは大根でなくオニオンスライス。こちらはポン酢でいただきます。

この後、とにかく次から次へと料理が出て参ります。漁師料理ですからもちろん魚介類なのですが、豪快というよりも随所にご主人のセンスと繊細さがにじみ出た料理です。
蒸し鮑にぐじのすり身揚げ
鯛の塩焼きにガラカブの煮付
とげつきのウニ(中身少なし)

この他、写真を撮り忘れましたけど、ひじきのキッシュ、もずく酢、サザエの壺焼、ヒラメの皮の唐揚げ、お吸い物、茶碗蒸し等々、新鮮で美味しい料理が食べきれないくらい次々と出てきて、
締めは赤米のお寿司

フルーツやデザートも出てきましたけど、これでしめて5000円。お腹はまさに「げんかいだな」でございました。

肥前・肥後

テーマ:よもやま話
昨日、一昨日と長浜専門店会の研修旅行に行ってまいりました。旅行の行先は佐賀県。皆行ったことが無いというのが一番の選定理由。まあ、意外とこういう所こそ隠された魅力があるに違いありません。まさに「いいもの佐賀し」。

さて、佐賀県はかつて長崎県と併せて「肥前」と呼ばれておりました。肥後は今の熊本県ですが、この肥前・肥後の「肥」ってのは何なんですかね?まさか肥料のことでは有りますまい。

色々と調べてみますと、かつてこの地域は「火の国」と呼ばれていたようです。熊本が「火の国」というのは聞いたことがありますね。「火」は阿蘇山のことだとか、あるいは有明海や八代海に現れる「不知火(しらぬい)」と呼ばれる蜃気楼の一種のことだとかとも言われているようです。

いずれにせよ、和銅6年(713年)に発せられた「好字令」という勅令により、「火」の国が「肥」の国に改められたんだとか。好字令というのは、全国の地名を漢字2字、それもできるだけ意味の良い字(好字)を用いて表すようにという命令だったようです。

国名で言うと、倭→大倭(大和)、近淡海→近江、粟→阿波、蓑(三野)→美濃、木→紀伊などなど。上記の「火」の国は、肥前・肥後となるわけですが、おそらくその前段階は「肥伊」だったのではないか、という説もあるようです。

話は変わりますが、ダイエット療法の広告で「◯ヶ月で◯◯kg減に成功!」などと大げさな写真入りで「好事例」が示されていることがよくありますよね。あれって、元々痩せていた人が太った写真を逆に使っているんじゃないか、と疑いたくなることありませんか?

ちゃんと正直に、「肥前・肥後」と記載して欲しいものですよね。私も肥前旅行中、食べ過ぎで肥後になりました。明日からしばらく旅日記の予定です。

無くなるかと心配

テーマ:油甚本店
先日、日曜日に店番してた時、中年の夫婦連れの方がご来店下さり、椿油の棚の前に

私: いらっしゃいませ~

ご主人: そうそう、これこれ、お宅のをいつも使ってるんですよ。顔に塗ってね。

私: おっ!道理でお顔のツヤがよろしいですねぇ

ご主人: あ、そう聞いたからって何かわざとらしいなあ

私: いやいや、先ほどから拝見しててずっと思っていたところなんですよ

ご主人: ま、いいや。で、これハゲた頭にもつけるのよ。ちょっとベタベタするけどね

私: (無言で眺める)

ご主人: 胡麻油はいいの?まだ買わなくて

奥様: う~ん、(指で残量を示し)まだこんくらいあるんだけどぉ

ご主人: いいよ、買っとけよ

私: あ、ありがとうございます

ご主人: いつも、長浜来るとね、この店に必ず寄るんですよ。買う物あってもなくてもね。

私: そうですか、恐縮です

奥様: そう、無くなるのが心配で

私: あぁ、なるほど、いつこの店がつぶれちゃうかと

奥様: 違います、違います。胡麻油が無くなっちゃうのが心配で....(汗)。


さて、真相や如何に?悲愴感を売り物にするかな(笑)

不協和音的つながり

テーマ:曳山・歌舞伎
「浄瑠璃を読もう」(橋本治/新潮社)という本を読んでいたら、次のように書いてありました。

「浄瑠璃は『聴くもの』であり『歌(バラード)』である。リズムやメロディに反応しても、いきなり飛び出す言葉の意味にはストレートに反応できない」。そうそう、聞いてても何のこっちゃようわからんですね。だから国立劇場なんかでも字幕が出るようになった。

続いて「時々断片的に解される言葉の意味が脳に飛び込んできて、やがて言葉と音とが一体化して理解されるようになる」と。なるほど、何回も聞いているとそんな感じですね。一種の外国音楽みたいなもんか。

浄瑠璃には縁語や掛詞が多くて、それが魅力の一つなのですが、そのせいで意味不明瞭になっているのも事実。しかし、縁語や掛詞で意味を分かりにくくさせているのは「音楽化する作業」なんだそうです。要は意味なんかわからんでもええ。ラップ音楽やと思って聞いとけと。

聞いている側からすると「歌」でええわけですが、語る側に立つと「歌うのではない。語れ」と言われ戸惑います。浄瑠璃を始めた頃は、節に合わせて歌うもんだと思っておりました。いや、今でも頭では違うと思いながら知らず知らずに歌っている自分に気がつくことがままあります。ま、それの方が楽だからかもしれません。

「『読む』は『語る』に転化する」とありますが、「語る」っちゅうのは「読む」と「歌う」の中間ってことなんでしょうか?そう言えば、かの近松門左衛門は「節にふしあり 節にふしなし 言葉に節あり 言葉に節なし 語るに語りて 節に語るな」という六句を残したそうな。これが理解できるのはいつになることか。

「メロディは『人の声』の方にあって、伴奏楽器(三味線)はその『人の声』に対してリズムを整えるもの」とも書いてありました。太夫と三味線がそれぞれに勝手なことをやって、それが結果として一つになっている。確かに、途中はバラバラにやっているようで節尻は合う、という方がいいみたいです。

浄瑠璃とは、そういう「不協和音的なつながりを楽しむ」もんなんだそうです。本日は午後2時より曳山博物館にて素浄瑠璃の発表会。まあ、今日はまもなくワールドカップ日本戦でそれどころではないですね。まずは日本チームの「協調和音的なつながり」を楽しみにしたいと思います。

常という字

テーマ:言葉・漢字
昨日は、長浜信用金庫さんの通常総代会が開催され、N理事長が会長に就任され、Y専務理事が後任の理事長に昇格されました。ま、既定路線の交代であったわけですが、こういう場合でもご挨拶の時には「図らずも」とおっしゃるのがお決まりで日本語というものは面白いですね。

会場の正面には「通常総代会」という大きな看板が吊られておりましたが、ふと「常」っていう字は「上の冠部分+吊」から成っているんかな~ということが気になったのですが、上の冠部分はウ冠でもないし、ワ冠でもないし、ツ冠でもないし、何やろ?

いや待てよ、あれはもしかしたら、「尚+巾」の可能性もあるやん。どっちやろ?などと考え始めますと、「尚」が頭につく字が、「當」「賞」「裳」「堂」「党」などと次々と思いつきます。こりゃ、こっちの可能性が高いな、と目星をつけます。

帰って調べますと、「尚」という字は、「向(まど)」+「八(わかれる)」の会意文字(2つの意味が合体した文字)で、空気抜きの窓から空気が上にたち上って分散することを示し、上(にあがる)の意味も含むとありますが、形声文字(意味と音の合体した文字)の音符としての役割が多いようです。

「當」は田畑の売買をする際、それに相当する他の地の面積をぴたりと引きあてて取引をすることを指し、「賞」は「尚+貝」というよりも意味的には「當+貝」、つまり財貨(貝)が当たるってことなんですね。

「党」という字は略字だそうで、元は「黨」すなわち「尚+黑(くろ)」の形成文字なんですね。多く集まるという意味を含むのですが、「仲間でやみ取引をするので黒を加えた」と辞書には書かれております。ま、政党のイメージそのものですね。

さて、先の「常」はやっぱり「尚+巾」だったのですが、これは元々衣裳の「裳」と同じく長いスカートを表す文字なんだそうです。そこから時間が長い、いつまでも長く続くの意味に変化したようです。

スピーチが長いのはスカートが長いのと同様、評判がよろしくないわけでございますが、地元に密着する長信さんの健全経営がいつまでも長く続くことを願ってやみません。
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