みょうがない

テーマ:言葉・漢字
以前亀仙人さんが、ラーメン屋で若い男の子が「しょうがとみょうがを間違えて」話していたことを書いておられました。生姜も茗荷もショウガ科の多年草なんで間違えてもしょうがないことなんでしょうか。

そうそう、生姜がない時に「しょうがない」などとダジャレを言うことありませんか?いやあるに違いありません。しかし茗荷がなくても「みょうがない」とは言いませんわな。

ところが「野崎村」という芝居の浄瑠璃の中で、お光という娘が「♪アァアア みょうがないことおっしゃります」と言うのを発見いたしました。

あるやん、「みょうがない」が。辞書で調べますと、「冥加無し」という詞が出てまいりました。二つ意味が書いてありまして、一つは「神仏の冥加(ご加護)を受けられない。神仏に見放されている」。これはまさに「冥加が無い」ということ。

で、もう一つは「かたじけない。もったいない」で、前者とはむしろ逆で冥加に余るという意味。こちらは「冥加なり」を強めた言い方が「冥加ない」に変化したようです。まぎらわしいですね。

野崎村の浄瑠璃の方は前後の文脈から見て、後者の「もったいない」の意味の方だと推測されるのですが、いずれにせよ茗荷は食べ過ぎると物忘れをするという俗説がありますよね。ここから、「おろかな人」を茗荷と呼んだそうな。

辞書にはその用例として、柳多留の中の「大門を這入る茗荷に出る生姜」という句が書かれていました。「茗荷」が「おろかな人」なら、「生姜」の方は根茎の形が握った手に似ているところから、「けちな人」を指したそうです。

大門というのはお寺の門でしょうから、お寺に出入りするのはケチとボケばかり、ってことなんでしょうか。全く「みょうがない」句ですな。

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