三津五郎さん逝く

テーマ:曳山・歌舞伎
すい臓がんと闘っておられた歌舞伎俳優、坂東三津五郎さんがお亡くなりになられました。59歳。歌舞伎界はまたしても一人の才能豊かな役者を失いました。

関西に来られる機会は多くは無かったのか、生でその演技に触れることはあまりありませんでしたが、故勘三郎さん曰く「舞踊の天才」であり、歌舞伎以外でも映画やドラマで活躍。功名が辻の光秀役や最近ではルーズベルトゲームでの東洋カメラ社長役も好演でした。

すい臓がんの手術を受けた後の会見で「先輩方から預かった芸という荷物を後輩たちに渡していくという自分の役目をより強く感じている」という言葉が印象的でしたが、志半ばでの幕引きはさぞ無念であったでしょう。

以前に三津五郎さんが著した「粋にいなせに三津五郎」という本を読んだのですが、現代の歌舞伎役者を前の世代と比較して、次のようなことが書いてありました。

「今の世代は、ドレッシングを変えれば和風にもフレンチにもなり、調理の仕方で炒め物の素材にもガスパッチョの具にもなれる生きゅうり。父より上の世代は、水で洗い流しても、漬物の味がするきゅうりの漬け物」

これは言い得て妙だと思いませんか。今の世代は何でもこなすけど味や個性が薄い。確かに昭和の名優たちは臭いも強烈で、噛めば噛むほどの味があった。

やがて「漬け物」になる素養と実力を兼ね備えた三津五郎さんでしたが、せめて彼や勘三郎さんが残した糠床から、一本でも多くの生きゅうりが漬け物に化けることを祈らずにはおられません。

三津五郎さんのご冥福を心よりお祈り申し上げます。大和屋! 

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