兼ねて

テーマ:言葉・漢字
昨日の滋賀夕刊、「嘉田知事新党結成」の記事の中に、知事は今度の総選挙で原発の是非が問われるべきだと兼ねてから指摘していた、と書かれておりました。

いや、政治関連のことは立場上あんまり云々してはいかんそうですので言いませんけど、そんなことより気になったのは「兼ねてから」と書かれていたこと。あれ~、「かねて」ってこんな字書くんでしったけ?

調べてみたら、書くんですねぇ、これが。「兼ねる」って、「役を兼ねる」とかいう風に「二つ以上の働き、役割を併せ持つ」という意味しかパッと出てこないので、「前もって、あらかじめ」という意味でこの字を使われると大変違和感を感じます。

あ、そうそう、「気がねする」と言いますけど、あれも「気兼ねする」と書くんですね。まあ、この場合は自分だけでなく相手の気持ちも兼ねて遠慮する、と考えればわからんでもないですわな。

でもね、昔の辞書には「前もって」という意味で「兼ねて」という字は載っていないんですよ。じゃあ、どう書くのか。そう例のあれですよ。「よめ」としか読めない「予め」の「予」。あれは、なんと読むか覚えてますか?

やっぱり「かねて」は「予て」と書くのが意味的にもピンと来ますね。ところで「予」という字は「丸い輪をずらせて向こうへ押しやる」という意味なんだそうです。◯⇒◯を縦書きしたみたいな。

正字体は「豫」で予の隣に動物の「象」がおります。象はのんびりしたものの代表ですから、この字は「のんびりとゆとりをもつこと」を意味するんだそうです。ゆとりを持つことと、「かねて」や「あらかじめ」の意味合いは矛盾しませんね。

「兼」は「二本の禾(イネ)を手で一緒にあわせ持つ」というのが字義だそうで、「前もって」という意味は元々この字にはなく、日本に来てから付けられたいわば当て字のようです。「~し兼ねない」ってのも当て字。

「兼ねてより」考えていたことかどうか知りませんけど、「気兼ねなく」知事と党首を「兼ねる」ことなんかできるんでしょうか?まあ、こんな時代ですから、「し兼ねない」んでしょうね。


 

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