子ども歌舞伎と危機管理

テーマ:曳山・歌舞伎
昨日は曳山祭本日(ほんび)。雨こそ降りませんでしたが、私の記憶の範囲では史上最も寒い祭の本日でした。パッチにケツカイロは当然のこと、懐にもカイロ、足にはレッグウォーマー、羽織も着用して太夫席に臨みました。

こんな不順の天候です。大人でも体調管理が難しいところ、日々の厳しい稽古に耐えてきた子ども役者が悪くなっても何の不思議もありません。当町でも主役級の役者が13日から体調を崩し、14日は大事を取って登り山と夕渡りを欠場し、本日(ほんび)に臨んでくれました。

八幡宮での神前奉納は無事こなしてくれましたが、一八屋席(博物館広場)では、終盤で体調を維持できず山を降りました。舞台後見が機転を利かして私のところへ事情を告げに来て、セリフ台本を見せて本来その役者が言うべきセリフを指摘してくれましたので、私がその後の彼のセリフ部分を代わりに言って何とか幕に至りました。

彼は病院へ直行し点滴を受けましたが、最後のお旅所での神前奉納に備えて、次の札の辻席(黒壁前)は欠場させるという決断を筆頭が下しました。さて、代役をどうするか?短時間の間に決めなければなりません。

子どもの事ですから、このように病気で欠場を余儀なくせられることは、長い曳山祭の歴史の中では幾度となくあり、通常は舞台方が代役をこなすことになっております。舞台方は道具の出し入れを行なうだけの軽い役と思われがちですが、実はすべての役者のセリフ、動きを覚え、万が一の事態に備えるという重要な役割を果たします。

しかし、昨今では子どもの数が減ったりという理由もあって、舞台方を置かない町も出てきております。また今年の当町のように、配役バランスの関係上、小1になったばかりの最年少者を舞台方にせざるを得ないケースも考えられます。

主役級の代役をこの最年少の舞台方にさせるのは無理で、まして大人がやるわけにも参りません。そこで急遽、脇役の二人侍のうちの上級生(4年生)を主役の代役とし、その代役を舞台方に務めさせることになりました。ただし、セリフは山の下で振付さんが言うという形で。
新しい役割を急遽指導
芝居の前に見物のお客様に説明をしましたが、この時点で立ち去られるお客さんは全く居られませんでした。むしろ、事情を理解し温かい声援を送って下さいました。代役を務めた役者もよく動きを覚えていてくれて、ほぼ不足なく演じてくれました。

ちょかちょかしていた最年少の舞台方も自分の新たな役割を一生懸命務め、何より子どもたちが病欠の役者のために一致団結してがんばろう、と誓い合っていた姿に舞台裏に居た私は感動してしまいました。点滴を受けた後、最後のお旅所での神前奉納に、また復活上演してくれた彼の精神力にも拍手を送りたいと思います。

子ども歌舞伎には病気はつきものです。だれかが病気になって出られなくなった場合にはどうするか、という危機管理を事前にしておく必要性、そして舞台方という役割の重要性を再認識した一日でありました。
危機管理といえばこれもね

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