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すんでに

テーマ:言葉・漢字
皆様「既に」と書いてどう読まれます?何を当たり前のこと聞くんやいな、「すでに」に決まったるやん、ですわね。

先日、SirMurai先生が私のブログへのコメントの中に「すんでのところ」って「既の所」って書くんですね。と書かれておりました。ほぉ~っ、これは知りませんでした。

だって、そうでしょう。「すでに」と言えば、過去のこと、あるいは現在完了みたいな状態の時に使いますよね。一方、「すんでに」の方は「もう少しで、あやうく」というような意味で、実現していない状態を表します。済んでもいないことを「既に」とはどういうこっちゃ。

さらに、格闘後などで直接打たずギリギリのところで止める「寸止め」から「すんでに」になったと思っていた方もあるいはいらっしゃるかもしれません。

しかし、今一度辞書で「すでに」を引き直してみますと、一番最後に「ある事態が近づいていることを表す。もう少しで。今にも」という意味が書かれているではありませんか。

つまり、この意味の部分だけが音変化し、現代では「すんでに」というように「ん(拗音)」がつけられて発音するようになったんですね。「すんでのところ」は英語ではお馴染みの「Almost」ですが、ここのサイトを読むと意味がとてもよくわかります。

韓国で「すんで」と言えばソーセージ風の
これ
ちょっとグロテスクですね。この「すんで」を食べるのは「すんでのところで」逃れたいものですみだ。

めりやす

テーマ:曳山・歌舞伎
昨日のマルセンちゃんのブログ「めりはり」で思い出したのですが、義太夫節の三味線の手に「めりやす」ってのがあるんです。登場人物が会話をしている時や動作の彩りに、いわばBGMのような感じで繰り返し演奏される短い曲のことを指すんですが、これは何で「めりやす」て言うんやろ?と実は思っておりました。

昨日のマルセンちゃんの解説によれば、「めりはり」は邦楽用語であり、基本となる曲調よりも調子を少し下げることを「めり(減り)」というとのことですが、上記「めりやす」も「滅入りやすい」調子の曲だから、それが縮まって「めりやす」となった説もあるようです。

がしかし、「めりやす」といえば今は死語に近いけど、私たちの世代はやっぱりあの生地の「メリヤス」が頭に浮かびます。「縦横方向ともに伸縮性のある布」と定義されていますが、現代ではすっかり「ニット(knit)」という用語に置き換わっておりますね。

この語源は一体何なのか?これは、ポルトガル語のメイアシュ(meias)あるいはスペイン語のメジアス(medias)からだそうで、元の意味は靴下だとか。欧州における近代メリヤスの発祥は1589年と言われ、日本には1700年前後に輸入伝来したらしい、とwikipediaには書かれております。

さて、邦楽の「めりやす」は義太夫節のみならず、下座音楽および長唄の一つでもあるわけですが、普通に考えますと、こっちの「めりやす」が元々あったように思えます。ところが、最古のめりやすは1731年正月の江戸中村座初演の「無間の鐘」という記述もございます。

するってえと、メリヤスの輸入の方が早いわけでして、一気に「メリヤス」語源説が急浮上して参ります。実際、三味線の「めりやす」は「メリヤス」のように曲が劇に合わせて伸び縮みするわけですから、これ以上適切な用語は無かったと推察されます。

こういう伸び縮みしやすいメリヤスの特徴をとらえて、「莫大小」=大小を問わない、という当て字を考えたところもさすがですね。そういえば、村上春樹さんでなく莫言という中国人作家がノーベル文学賞を受賞しましたけど、選考の基準も「莫大小」なんでしょうね、きっと。

<参考>

バイト代払いたいくらい

テーマ:油甚本店
毎年恒例の県外校からの商店街就労体験受入。昨日は広島県は神辺高校から2年生男子二人。中学生の受入がほとんどなのですが、高校生は2年ぶりか。

9時半からの予定だったのですが、のっけから観光振興課のT君が来店し、「すいません。今日の高校、昨日岐阜泊でバスでこっちに向かってるんですが、遅れているみたいで10時頃になりそうなんです」と。で、結局着いてから道に迷ったこともあって、二人が来たのは10時半。

通常は掃除やガラス拭きから始めるのですが、時間がないので「今日は、いきなり油詰作業をしてもらいます」ってことで、胡麻油三兄弟を作ってもらいます。これね、1升のポリ容器から漏斗を通して充填していくのですが、瓶が小さいのでかえって難しい。

私はこれは苦手なのでいつも事務員さん任せ。よって高校生の指導も事務員さん任せ。さて、この高校生諸君、見た目ちょっと頼りなさそう。一人は結構な体格でして、おまけに風邪引いたとかで咳してるし。おい大丈夫か、君たち?。

中学生にこの作業をさせると、もたついたり油をこぼしたり結構苦戦するので、今日もそんな感じかな...、と眺めておりましたら、意外や意外、特におでぶちゃん(失礼)の方が存外器用でさっさと仕事をこなしていくではありませんか。

「いや、オレ授業で鉄作ってるし、バイトもしてますし」。総合高校の工業科のようです。「バイトって何やってるん?」「はい、マクドナルドで。バイトの方が学校より楽しいです」と。マクドナルドって結構厳しいんですよね。そこで務まっているのだから、仕事も早いはずです。

なんか、二人でブツブツ言いながら作業していますので、聞き耳を立てておりますと、「いやぁ、オレこういう地味な、いや地道な作業好きやわ~」と言うてます。いやいや作業しているのがわかるとこちらも辛いのですが、こういう学生は嬉しくなります。

結局、予定の作業をあっという間に片付けて、別の瓶詰めを依頼、さらにウィンドウのガラス拭き、西日除けのすだれの撤去、それから地方発送の荷物を宅急便取次店まで持って行ってくれました。2時で終了して「楽しかったです。ありがとうございました」と去って行った二人。

実は、この体験受入、一人につき3,000円の受入手数料がいただけるのですが、今日みたい子らやったら、逆にバイト代払ってもええくらいですわ。おおきに、ありがとうございました。また長浜に遊びに来てね。

堺筋本町給油所1号店

テーマ:石油
昨日の日経新聞消費欄に「堺筋本町給油所1号店」の記事が掲載されておりました。

「大阪のビジネス街の一角。看板には『レギュラー300円』の文字が踊る」とあります。げ!300円、なんちゅう高いん!と思うなかれ。

何せ、ここはガソリンスタンドではないらしい。何と「日本で初めて給油機から生ビールが出るお店」なんだとか。同店の業態は「ガソリンスタンド居酒屋」で、従業員も注文を受けると「レギュラー1丁にハイオク1丁」と声を張り上げるそうだ。

ほんでね、「ハイオク」はアサヒスーパードライ生(380円)、「レギュラー」は第3のビールのアサヒクリア(300円)、「軽油」はチューハイ(300円)を指すらしい。で、基本的に店員が注ぐが、希望すれば「セルフ給油」もできるのだとか。値段安なりますんやろか?

店内は立ち飲み席もあって、ドラム缶がずらりと並んでいたりする。飲み過ぎて粗相した人は店内で洗車、とかいうサービスも有ったりして。


このコンセプトを思いついたのは同店を運営する「阪神食品」の檜屋社長。酒を飲みに行く時の「ガソリンを入れに行く」という言い回しがヒントになったそうです。

大阪勤務に変わったくんさん、いっぺんガソリン入れに行ってみて。

八幡宮の薪能

テーマ:よもやま話
昨日10/15は長浜八幡宮の秋季大祭。夜は神輿還御に合せて例年能舞台で薪能が催されます。私は山組に属しておりますので、若衆の頃は御旅所へ神輿を送る囃子の演奏に。そして中老になってからは、昨年、一昨年と神輿を先導する迎え提灯持ちを務めさせていただきました。

で、今年はとりあえず用事がございませんでしたので、ゆっくり薪能でも見せてもらおか、と6時半過ぎに八幡宮へ。既に能面をつけない圧縮版ともいえる「仕舞」が始まっておりましたが、正面および斜めの椅子席はすっかり埋まっておりました。

舞台から見て右側、橋掛かりに近い席が空いておりましたので、そこで観覧することに。以前に「番組」という題で書いたように、能は必ず狂言とセットになっておりまして、能だけだとわけが分からなくてずっと観賞するのはしんどいのですが、間に狂言が入っていると救われたような気分になります。

今年の狂言は「呼声」。使用人の太郎冠者が主人に無断で外出したことを咎めようと、主人が次郎冠者と二人で太郎冠者の家を訪れ、色々な趣向を凝らし「出てこい」と呼びかけるのですが、太郎冠者はその都度同じように声色を変えて居留守を使います。

「太郎冠者殿 宿にござるか宿にござらば お目にかかろぞ お目にかかろぞ太郎冠者殿 」「留守でござる 御用ござらば仰せられよ 仰せられよ」が延々と繰り返され、どんどんテンポが早くなって最後はついに太郎冠者も家から引き出されて万事休す。

そして最後は能「船弁慶」。あらすじの書いた紙を忘れてきましたので、あまり理解できなかったのですが、雰囲気だけで十分に楽しめます。

真横から写真を撮っているのですが、一瞬正面席と見まごうでしょ。能は真正面が特等席というわけでなく、舞台から見て右45度くらいが一番いい席だと以前に教わりました。そして、私が座った席も実はそんなに悪くないんです、能の場合は。

夜陰を切り裂くような篠笛の音色が響く中、能面をつけた静御前がゆったりと舞います。しばらくすると、篠笛とは違う笛の音が重なって響いて参ります。「おかしいな」と思ったら「左に曲がります。ご注意下さい」ときた。そう、長浜赤十字病院のすぐ近くですからね。ピーポーピーポーと救急車が来たんですね。

前後半に分かれた船弁慶の上演でしたが、都合により前半が終わる頃に席を立ちました。気がついたら斜め後ろの席にぱんやさんが、バタコさんと夫婦連れで。ぱんやさんの顔を見たら急にお腹が空いて来ました。ぱんやさん、能ではなくてスマホでコブログを観賞されてるようでした。画面が黒地に白文字。じんとにっくだったのか?
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