めりやす

テーマ:曳山・歌舞伎
昨日のマルセンちゃんのブログ「めりはり」で思い出したのですが、義太夫節の三味線の手に「めりやす」ってのがあるんです。登場人物が会話をしている時や動作の彩りに、いわばBGMのような感じで繰り返し演奏される短い曲のことを指すんですが、これは何で「めりやす」て言うんやろ?と実は思っておりました。

昨日のマルセンちゃんの解説によれば、「めりはり」は邦楽用語であり、基本となる曲調よりも調子を少し下げることを「めり(減り)」というとのことですが、上記「めりやす」も「滅入りやすい」調子の曲だから、それが縮まって「めりやす」となった説もあるようです。

がしかし、「めりやす」といえば今は死語に近いけど、私たちの世代はやっぱりあの生地の「メリヤス」が頭に浮かびます。「縦横方向ともに伸縮性のある布」と定義されていますが、現代ではすっかり「ニット(knit)」という用語に置き換わっておりますね。

この語源は一体何なのか?これは、ポルトガル語のメイアシュ(meias)あるいはスペイン語のメジアス(medias)からだそうで、元の意味は靴下だとか。欧州における近代メリヤスの発祥は1589年と言われ、日本には1700年前後に輸入伝来したらしい、とwikipediaには書かれております。

さて、邦楽の「めりやす」は義太夫節のみならず、下座音楽および長唄の一つでもあるわけですが、普通に考えますと、こっちの「めりやす」が元々あったように思えます。ところが、最古のめりやすは1731年正月の江戸中村座初演の「無間の鐘」という記述もございます。

するってえと、メリヤスの輸入の方が早いわけでして、一気に「メリヤス」語源説が急浮上して参ります。実際、三味線の「めりやす」は「メリヤス」のように曲が劇に合わせて伸び縮みするわけですから、これ以上適切な用語は無かったと推察されます。

こういう伸び縮みしやすいメリヤスの特徴をとらえて、「莫大小」=大小を問わない、という当て字を考えたところもさすがですね。そういえば、村上春樹さんでなく莫言という中国人作家がノーベル文学賞を受賞しましたけど、選考の基準も「莫大小」なんでしょうね、きっと。

<参考>

アーカイブ

最近の記事一覧

カレンダー

<<      2012/10      >>
30 1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31 1 2 3

ブログランキング

総合ランキング
2位 / 1569人中 keep
ジャンルランキング
2位 / 816人中 keep
日記/一般

フリースペース

HTMLページへのリンク

プロフィール

このブログの読者

お気に入りブログ

参加コミュニティ一覧