蜘蛛のミステリー

テーマ:よもやま話
昨日、ゆうこりんさんが「くもの研究」という題で書いておられましたが、確かに外観といい巣を張る生態といい、蜘蛛というのは他の生き物と比べてみても摩訶不思議な存在なような気がいたします。

以前読んだ「クモの糸のミステリー」(大崎茂芳/中公新書)という本によれば、蜘蛛の「蜘」の旁の「知」は元々は「知于(チ)」と書いたらしく、「はたおる、くみたてる」=織、という意味で、一方「蛛」の旁の「朱」は「殺す(誅)」という意味だとか。

つまり、「巣を張り巡らし獲物を捕食する」という生態をその名に現しているわけですね。時々我々の体や頭髪に付着して非常に迷惑なあの蜘蛛の巣ですが、いわゆる縦糸と横糸があり、ネバネバしているのは円周のような横糸だけなんだそうですね。

従って、蜘蛛はよく観察すると縦糸上しか動かないんだそうです。自分の仕掛けたネズミ捕りを踏みつけるようなヘマはしないんですね。獲物がネバネバに引っかかると、足早に近づいていきますが、あれは目で見えるわけではなく、ネットを揺らす振動に反応しているみたいですね。

そう言えば、蜘蛛が獲物をむしゃむしゃ食っているところって見たことないですよね。実は獲物に毒(消化液)を注入し獲物の体内、つまり蜘蛛からすれば体外消化した後、液体を吸い上げるのだとか。

そして、実に丈夫に見えるあの牽引糸、実は1本ではなく2本のフィラメントから成っており、弾性限界強度(糸がバネのように伸び縮みできるギリギリの強度)を調べると、クモの体重の2倍あることがわかったそうです。つまり2本のうち1本が切れても、残りの1本で自らを救えるようになっているわけです。

中国は4千年の歴史ですが、蜘蛛は4億年の歴史。4億年の知恵の結集なんですね。さて、中国では「蜘」がオスのクモを指し、「蛛」がメスを指すとか。オスが「はたを織り」メスが「殺す」。実際、交尾の後にメスに食われてしまうオスもいるようです。人類も4億年経てば....。

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