胴欲

テーマ:曳山・歌舞伎
歌舞伎や文楽を見ておりますと、現在ではあまり使われない言葉がよく使われる、ということは何回か書いたように思いますが、そのうちの一つに「胴欲な」というのがありますね。特に若い娘などが父親や母親に向かって「胴欲なことを仰ります~」とかよく言います。

「ひどく欲が深くて不人情」という意味なのですが、今ではたまーに文章の中で出てくるくらいで、会話で「そりゃ胴欲でございます」なんて言いませんよね。

お芝居の中では、「欲が深い」というよりもむしろそこから転じた「無慈悲だ」「むごい」「ひどい」といったような気持ちを強く言い表すときにこの言葉が使われているように思われます。だから無慈悲な目に遭うことが多い娘役からよく発せられるのかもしれません。今回の鳳凰山の芝居でも出てまいります。

しかし、何で「胴の欲」が無慈悲なのかようわからんなぁ、と思って辞書を引いてみると、「貪欲(どんよく)の音変化」とあります。あ、貪欲は今でもよく使いますね。「欲が深い」という意味ではありますが、現在は「貪欲に知識を吸収する」などとむしろいい意味に使われることが多いから面白いものです。

ところが、現在「どんよく」と読んでいる「貪欲」は元々は「とんよく」と読む仏語(フランス語じゃなくて仏様の語)だそうで、「三毒・十悪の一つ」と辞書に書いてあるではありませんか。ちなみに三毒とは

貪(とん):欲望にまかせて執着しむさぼること
瞋(しん):自分の心に逆らうものを怒り恨むこと
痴(ち):無明、無知であること

チントンシャン、三味線みたいですな。ところで「十悪」って何やてか?「そりゃ胴欲なこと仰ります~」。いや、あんまり貪欲に調べることは毒であり悪だそうですので、この辺でやめときますわ。

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