鏡と鑑

テーマ:曳山・歌舞伎
先週から我々太夫・三味線も加わって、曳山祭の子供歌舞伎の稽古も佳境に入ってまいりました。町によって、またその年によって色々なスタイルがあると思いますが、今年私がお世話になっている祝町組鳳凰山では稽古の終わりに毎回若衆筆頭さんが子供達に一言を申し述べられています。

先日は「大きな流れは皆だいたい出来るようになってきたけど、細かいところはまだまだです。先生のセリフや動きをそのままできるように。先生を『カガミ』にして頑張って下さい」と。

なるほどええこと言うなあ、と感心しながらも、「待てよ、鏡にするということは、自分の拙(つたな)い演技がそこに映るだけなんやけど、ほんでええんかいな?」と妙な疑問が湧いてまいります。

まあ昼間油の瓶詰でくたびれて、稽古場に来て大声張り上げて疲れますと、頭の回転はこんなもんです。帰って冷静に考えますと、そうか「カガミ」には手本とか模範という意味があったということを思い出します。

「カガミ」には「鏡」と「鑑」があって、両方とも基本的には同じ「光の反射を利用して姿を映し出す道具」であるわけですが、元々「鑑」は金属ではなくお盆に水を入れて姿を見る「水鏡」を表す漢字なんだそうです。

「今は水鏡は使われないため、現在では姿を写す道具に『鏡』、 自らの手本や模範とするものには『鑑』と使いわけるのが一般的です」とYahooの知恵袋の回答に。

「菅原伝授手習鑑」など歌舞伎には、手本や模範という意味での「鑑」のつく演目がいくつかありますが、筆頭さんの言った「カガミ」はまさにこの「鑑」だったわけですね。



アーカイブ

最近の記事一覧

カレンダー

<<      2015/04      >>
29 30 31 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 1 2

ブログランキング

総合ランキング
2位 / 1569人中 keep
ジャンルランキング
2位 / 816人中 keep
日記/一般

フリースペース

HTMLページへのリンク

プロフィール

このブログの読者

お気に入りブログ

参加コミュニティ一覧