現代教科書事情

テーマ:まちづくり
昨年、教育委員長として小学校教科書の改定のための採択協議会に参加して、現代の小学校教科書について少しじっくりと拝見する機会に恵まれました。

私は専門的なことはよくわからないのですが、ひょっとすると前例踏襲主義みたいなものがあるのではないかと勘ぐって、今回の推薦教科書会社と従前のそれについて質問してみたのですが、社会科の地図帳以外は見事に従前の会社のものが選ばれていました。

もっとも、それが理由で選ばれたというよりも、国語はA社、算数はB社といったように、内容に優れ傑出したシェアを占める会社があるようで、すべての科目において満場一致で決まるほど1位と2位には差があったことも事実のようです。

地図帳はこれまで帝国書院の独擅場だったのですが、今回は東京書籍が作成担当者が変わったこともあり内容を一新してきた結果選ばれたようです。何と言っても特徴は「見やすさ」。確かに帝国書院のものと比べて情報量が整理され、すっきりしていて小学校レベルでははるかに使いやすそうな感じがします。

ただ、我々が住む湖北の部分の記載内容を比較すると、東京書籍のそれは◎長浜という都市表示以外は、余呉湖と竹生島と姉川ダム以外の記載は全くなし。滋賀県については副教材でもっと詳しい地図を使用するとの説明でしたが、自分たちのふるさとが何も無いようなところで寂しく感じはしないかとちょっと思った次第です。

教育長さんは家庭科の教科書を見て、採択とは直接関係ないけれど、料理が「クッキング」、裁縫が「ソーイング」となっており、さらに「マイバッグを作ろう」などという横文字表記が目立ち、日本語が追いやられてしまっているのが気になる、という感想を述べておられました。

全体的に我々の時代とは比較にならないほど写真が増え、カラフルで鮮明かつ詳細なものになっているのに驚くとともに、本物を見た時にむしろ期待はずれでがっかりしたりするのではないかと少し心配になりました。

写真や画像をより美しく鮮明に、という流れは教科書に限らず、雑誌、テレビや携帯端末など社会全体に蔓延し、もはやその流れに抗することはできないと思いますが、それが子どもたちの想像力、好奇心を掻き立てる上で本当に好ましいのか、と実はちょっと疑問に思い始めています。

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