胡と湖

テーマ:言葉・漢字
随分前に読んだ「ゴマの来た道」(小林貞作/岩波新書)という本に、確か「胡麻」の「胡」という字には「西方から来た」という意味がある、というようなことが書いてあって、その時は、なるほどそうか、胡麻はアフリカが発祥の地だもんね、とだけ思っておりました。

しかし、漢字に興味を持ち始めると「胡」という字そのものには、どう見ても「西から」なんていう意味が込められていそうにないことに気がつきます。じゃあ、ホントのところはどうなのよ、と大漢和字典を引きますと、「肉+古」の形声文字で「大きく表面を覆い隠す」意を含む、とあります。

この字はね、元々「垂れ下がったあごの肉」っていう意味らしいですよ。居ますよね、太ったおっちゃん、おばちゃんでそういう人。あと、牛とかヤギとかのアゴの皮も垂れ下がってますね。で、そこから転じて「垂れてあごをおおったひげ」も指すようになった。

「胡」と書いて「えびす」と読んだりもするのですが、この場合は「中国の北方や西方に住む遊牧人」の蔑称。あごひげの長い人種が多かったからこの字が充てられたようです。さらに中国の北方・西方を産地とするもの、例えば「胡麻」「胡瓜」「胡椒」などにつけるようになったんですね。

さらによく見ると、我々滋賀県人にとってあまりにも身近である「湖」という字にもこの「胡」という字が含まれているいるではないですか。そうです、もうおわかりですね、「牛のあごを覆って垂れる皮のように大地に覆いかぶさる水」→これが「みずうみ」の実態です。

うぅぅぅ、湖水に牛のよだれが入ってそうで、ちょっとロマンがなくなりましたね。「胡」の字を真剣に追求すると、胡麻油の売れ行きにも悪影響を与えそうなのでこのへんで失礼いたします。

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