ジンバルジン

テーマ:よもやま話
先日、くんさんがこってりラーメンを食べると「甚腹」になると書かれておりました。「甚腹」とは私のデリケートなお腹の調子をもじってのくんさんの命名だと思っておりましたら、ゆうこりんさんが「甚腹って広辞苑に出てくるでしょ」とどこかでコメント。

え?ほんまにそんな言葉あるんかいな、と早速当の広辞苑やら大辞泉やらを引いてみましたが.....、無いやん。でも、近くにあった「じんばり」という言葉が目に入ります。「腎張り」と書きますが、「好色なこと。多淫なこと。また、その人」とあるじゃあないですか。「腎張りはオットセイほど連れ歩き」という川柳もあるようです。

私の実質的な処女ブログ「油甚とは」に書きましたように、当店の初代は「甚助」という名前なのですが、辞書を見ると「甚助」には「情欲が深く、嫉妬深い性質。またそのような男」という意味があるようです。

先の「腎張り」と「甚助」は語感も意味も似ていると思いましたら、「甚助」のところに「『腎張り』を人名のように表した語」と書かれているではありませんか。つまり、腎張りな男を「甚助」と呼んだと。

本当にそんな言い方をしたんかい、と疑問に思っておりましたら、「品川心中」という落語の中で、女郎を待ってしびれを切らした主人公の金蔵(きんぞう)が、寝て待つか起きて待つか迷う場面で、この言葉が使われていることを知りました。

寝ていれば、せっかく来ても「なんだ、寝ているの」とチャンスをのがすかもしれない。起きて待っていれば、「この男、いやに甚助だわ」と思われるかもしれない、とあります。ひえ~、ホンマに使われてましたやん。よくぞ、子につけたりこの名前。

さて、「腎張り」の方に目を移しますと、なぜいわゆる「スケベ」に腎臓の「腎」という字が当てられているのかという疑問が生じます。どうやら、江戸の人たちは男の精液は腎臓から出るものと考えていたようで、精液を腎水と称していたらしいのです。

ですから、精力の旺盛な人を「腎張り」と称し、過淫による強度の衰弱症を「腎虚」といったようです。もちろん私は「ジンバルジン」ではありませんが、最近の草食系の若者には、もうちょっと「腎張れ」とエールを送りたい気もいたします。
♪I am not Jin Valjin

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