桜井の訣別

テーマ:よもやま話
先日、晩ご飯の時、どういうわけか涙の話になって、妻が私の涙腺が枯れているとか言うので、いや最近そうでもない、とか何とか言い返しておりましたら、母が「健康得々広場」という西部福祉ステーションの催しの話をし始めました。

今年の4月に「お花見うたごえ広場」というのがあって、春や桜の歌を歌ったそうです。いろいろな歌を歌ったようですが、そのうち「桜井の訣別」という歌を歌っていたら、自然と大粒の涙がぼろぼろ落ちてきたというのです。じわ~っとまぶたが熱くなったのではなく、まさにボロボロと。

「ほ~、そりゃ何の歌ですかい?」と聞きますと、「おまんら、知らんのか楠木正成公」。「あ、知ってる、知ってる。戦前は忠臣として崇められた人やろ?」「私はほとんど知らんわ」と妻。そうそう、我々が受けた戦後教育ではあの時代の主役は足利尊氏ですもんね。

「ちょっと歌ってみて」と言いますと「♪青葉茂れる桜井の~」と歌い始めましたが、そのうち「あかん泣けてくる」と。戦場に向かう楠木正成について行こうとする息子正行に対して「お前は天皇を守るために生きのびよ。故郷に老いたる母も待っている」と諭す忠孝の歌だとか。

後でその時の歌集を見せてもらったところ、15曲くらいあって古い歌が中心だったのですが、聞いたことがないものが、この歌を含めて数曲ありました。。

戦前の忠君愛国教育の中ではヒーローであった楠木正成は戦後教育の中ではほとんど軽視され、逆賊とされた尊氏の方が大きく取り上げられます。ちなみに、私の高校時代の日本史の教科書(山川出版)を見返してみると、楠木正成に関する記述は、挙兵と戦死の事実を語るたった2行のみ。

1991年の大河ドラマ「太平記」で初めて尊氏が主人公となりましたが、南北朝時代というのは日本の歴史上の禁忌というか、灰色のベールでくるまれたような扱い。事実これ以降この時代を扱ったドラマは無いようです。

現在教科書ではこの二人はどう扱われているのでしょうか?楠木正成の歌で無意識の内に涙が流れる世代と名前すらもほとんど覚えていない世代。教育の与える影響の大きさも実感いたします。

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