釣女

テーマ:曳山・歌舞伎
昨年11月に日経トレンディネットが、2011年のヒット予測の4位にあげていた「釣女」。この場合は「つりじょ」または「ちょうじょ」とも読み、「歴女」と同系列の用語で「釣りを楽しむ女性」ってことなんでしょうね。「釣りガール」といってもいいかも。

さて今日は早くも曳山祭の線香番ですが、今年は、「嫗山姥」(月宮殿)、「春重四海波」(諌皷山)、「玉藻前曦袂」(青海山)など、ほとんど初見参といっても差し支えのない演目が並びますが、その中で比較的馴染みがあるのが、春日山が演じる「釣女」。

で、こちらの「釣女」は、「釣りをする女」ではなく「女を釣る」話でございます。元々能・狂言の演目が歌舞伎になった、いわゆる「松羽目物」といわれるものの一つですが、平成10年にわが翁山も上演しており、この年は私は曳山上で子どもに指示したり、道具の出し入れをする「舞台後見」を務めました。

狂言にはお決まりの大名・太郎冠者が登場するのですが二人とも独身。西宮の戎宮で見目良い妻を授けたまえと祈り、神から召された釣竿で大名は見事美女を釣り上げる。自分も続けと試みる太郎冠者が釣ったのはとんでもない醜女(しこめ)。ストーリーがわかっていても、ついつい吹き出してしまいます。

昭和58年に鳳凰山が演じておりまして、この時のビデオを見て研究したことを覚えています。現在ゆう歌舞伎の名立役としてご活躍中で、最近義太夫の方にも取り組んでおられるK君が太郎冠者を演じたのですが、まあコミカルな役どころを見事に演じ、何回見ても爆笑してしまいました。

ところが我が翁山の役者ども、照れが先立つのかこちらが思うように演じてくれませんで、線香番に先立って行なわれた家族観劇会では、身内からも何の笑い声も起こらず背筋が凍るような思いをしたことを覚えています。

しかし、不思議なもので、子どもたち。本日の八幡宮で観客から笑いを取ってからは急に自信を持って、その後は見違えるような演技。何とか舞台後見としても役目を果たせたかなとほっといたしました。

昭和48年から長年にわたって振付師と活躍された中村芝蝶先生の最後の作品となったわけですが、確か祭が終わって1ヶ月後くらいにお亡くなりになられました。当時、千秋楽に舞台後見も先生に化粧してもらう習慣があり、私もこの通り。芝蝶先生、生涯最後の化粧は「醜女」ならぬ「醜男」でしたな。
「醜男」釣ってみるかや?

アーカイブ

最近の記事一覧

カレンダー

<<      2011/04      >>
27 28 29 30 31 1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30

ブログランキング

総合ランキング
2位 / 1569人中 keep
ジャンルランキング
2位 / 816人中 keep
日記/一般

フリースペース

HTMLページへのリンク

プロフィール

このブログの読者

お気に入りブログ

参加コミュニティ一覧