温故知新

テーマ:言葉・漢字
「温故知新」。よく見たり、聞いたりする言葉です。座右の銘としてもかなり上位に来る言葉ではないでしょうか。私は漢語に詳しいわけでもなんでもないのですが、ものの本によれば、論語「為政第二」の原文は

「子曰、温故而知新、可以為師矣」(子曰ク、故キヲ温ネテ新シキヲ知ル、以テ師ト為ルベシ)で、「古い歴史的事実をしっかり修得して新しい時代に対処しなさい、そうすれば新しい事もすべて正しく理解できる、それでこそ人の師になれる」というような意味なんだそうです。

さて、温故知新の「故」も「知」も「新」も意味はなるほどとわかるのですが、何で「温」が「たずねる」なんだ?と思ったことありません?実際「古きをタズネテ」じゃなくて「古きをアタタメテ」という言い方もあるようですが、とにかく何で「温」なんでしょうね?

「大人の見識」(阿川弘之/新潮新書)という本を読んでいたら、最後のところで筆者がこのことに触れておられました。「温」という字は稀に「尋」の字と同じに使われて「タズネル」と訓む場合があるそうですが、なぜ論語で「尋」を使わずに「温」としたのか?

「古キヲタズネル」んだけれど、ただ尋ねるのではなく「あたためたずねる」んだよと孔子は言いたかったらしい、というのです。吉川幸次郎氏の「論語」には次のような解説が出てくるそうです。

「温とは、肉をとろ火でたきつめて、スープをつくること。歴史に習熟し、そこから煮つめたスープのような知恵を獲得する。その知恵で以て新シキヲ知ル」ということなんだそうです。いい味のスープを取ろうと思ったら、強火でやっちゃいけない。歴史を学ぶのもにわか勉強で手早く片付けようとしては駄目だ」

孔子はそう言いたくて「温」の字を使ったというのです。それにしても今回の巨大地震、どんなに周到な「温故知新」を以ってしても対処することができなかったような現象ではないでしょうか。炉心過熱による福島第一原発の事故、後世の「温故知新」に資するよう最小限の被害に抑えてほしいものです。

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