三味面

テーマ:曳山・歌舞伎
昨日の午後は曳山博物館での講演会。講師は京都造形芸術大学客員教授の五島邦治さんで、テーマは「殿も傾(かぶ)いた三味線の魅力」。

京都の住宅で見つかった襖の下貼り文書の中から江戸前期の三味線の見積書が見つかり、調べていくうちに、それは徳川家康の曾孫が注文したものであることがわかって云々という、古文書がいろいろな文献などとつながって、昔の生活を赤裸々に蘇らせる魅力みたいなものを教えていただきました。

先生もおっしゃっておりましたが、博物館の展示などで美術品や工芸品などには目がいっても、古文書などは素通りする事が多いですよね。しかし、学識者が介在して説明を受けながら話を聞くと、古文書から実に興味深い世界が広がってまいります。

さて、このお殿さんが発注した三味線は、蒔絵で和歌を散らし書きにし、銀の金具を使った豪華なものだったことが古文書からわかるわけですが、しかし、現代においても不明なことがあるところがまた面白い。それは「むすじ(六筋)がけ」という言葉。

他にも「やすじ(八筋)がけ」というのもあるそうですので、三味線の糸の太さではないかという説が有力のようですが、三味線の大きさかもしれないし、あるいは駒と関連しているのかもしれません。

それから「きちょうめん」という言葉が出てくるのですが、これは文字通り「几帳面」のこと。でも現代人にとっては「几帳面」とはきちんとした性格という意味しか頭に浮かばず、語源のことなど考えたことなどありませんよね。

三味線にも「几帳面」があるのですが、これは下図のように角柱の角につけた面の一つで、角そのものは残すように両側に段をつけたもの。元々寝殿造りの室内調度である「几帳」の柱によく用いられ、細部まで丁寧に仕上げられているからというのが言葉の由来だそうです。

そうそう、この図を見ていると、右へいくほど性格がだんだんズボラになっていくような感じですね。あなたの性格は「几帳面」?「丸面」?それとも「さるほお面」?えっ!性格は几帳面で顔は猿頬面?なるほど。

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