ホラーからファンタジーへ

テーマ:まちづくり
近年テレビのワイドショーで「最近殺人が増えて怖いですねぇ」なんてよく言っていますが、では問題。日本の殺人事件の件数は増えているでしょうか?

昨年末のことですが、テレビに引っ張りだこの池上彰さんが、熊本のある小学校の5,6年生240人に対し上記のような質問をしたという新聞記事を目にいたしました。

さて、皆さんはどう思われますか?小学生たちはほとんどの子が「増えている」に手を挙げたそうですが、一昨年1年間の全国で起きた殺人事件が1094件に対し、56年前の1955年は実に3066件だったのだそうです。

つまり、ほぼ件数は1/3になって減少。なのに皆が増えていると思っているのはなぜなのか?犯人検挙率は昔も今も95%とほとんど変わっておらず、昔より犯人が捕まりやすくなったから殺人の数が減ったわけでもないようです。

池上さんの論理的な解説によりますと、「戦後の混乱の時代には殺人が頻繁に起きていたし、ニュース番組がほとんどなかった。今はニュース番組が増えた上、昔より件数が減った分、殺人がニュースになりやすくなった。それを毎日のようにテレビで見聞きする」

これが、みんなが殺人が増えたと感じる原因の一つだという事だそうです。この記事を見て以前読んだ「ホラーハウス社会」(芦沢一也/講談社+α新書)という本を思い出しました。

現代は「不安にとりつかれたホラーハウス社会」であり、防犯がエンターテインメント化し、恐怖と治安を快楽として消費している、と書かれていたことが印象的でありました。「恐い、恐い」と必要以上に神経過敏になりながら、自分とは関わりのない凶悪事件の報道には目が釘付けに。これはメディアの責任も大きいと思います。

最近、「伊達直人」を名乗って孤児院などの施設に贈り物を届ける「タイガーマスク運動」が全国に広がっていますが、元々日本人はユニセフなどへの寄付でも世界一の貢献をしているんだそうです。これを機に、メディアもそろそろ国民の目を「ホラーハウス」から「ファンタジーランド」に向けさせてほしいものです。

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