蘇を屠る

テーマ:よもやま話
お正月の朝にまず頂くものと言えば、お節料理、雑煮。でもその前に、お屠蘇を飲みますよね、家族で。もっともこの習慣は、関西以西の西日本に限られた風習で、他の地方では単に正月に飲む祝い酒を「お屠蘇」と称しているところが多いんだそうです。

皆さんところはどうか知りませんが、うちは若い順番にいただきます。厳密に申しますと日本酒が入っておりますから、未成年は飲んではいけないのかもしれませんが、これは薬ですからね。子どもにとってもお正月の楽しみの一つです。

歌舞伎の「伽羅先代萩」という芝居で、若君の毒見役の千松という子どもが毒入り菓子を食べて死んでしまう場面があるのですが、お屠蘇を若い者から飲むというのも、若い者が毒見をするという意味があって、この習慣は中国から来ているそうです。まあ、子どもにとっては飲みすぎると確かに毒ですけど。

歌舞伎といえば、我が家で使用している屠蘇器は、実は私が曳山祭に出場した時に小道具として使われたものなのです。「男の花道」という芝居で殿様役だったのですが、私の傍らにこの酒器が置いてあって、宴席で芸をするのを断った医者役に盃を投げつける場面もありました。
我が家の屠蘇器
今では、小道具は衣装屋さんから借りたり、若衆が自ら制作することが多いですが、当時は実用に耐えるものを購入し、祭が終わった後「振り市」と称して町内でセリに掛けて資金回収していたようです。役者親としても子どもに縁のある道具は記念にもなりますし、これも一つのやり方とも思えます。

さて「屠蘇」というのは、実にいかめしい字を書きますが、「蘇(そ)」というのは悪鬼のことで、これを「屠る(ほふる)」つまり「やっつける」ということなんだそうです。

我が家は今年、娘が就職、息子が受験。屠蘇を大いに飲んで邪気を振り払ってほしいところですが、考えてみれば就活者や受験生に「おとそ」は禁句でしたね。あっ、「おとし玉も」...。今年は「おねんぎょく」をどうぞ、と言うことにいたします。

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