はかが行く

テーマ:言葉・漢字
昨日は草むしりに「墓へ行った」話をいたしましたが、今日は「はかへ」ではなく「はかが行く」のお話をいたしたいと思います。と申しましても墓がどこかへ行く話ではありませんよ。

「仕事の能率が上がる、はかどる」という意味で「はかが行く」という言い方をいたします。私これ、もしかしたらこの辺りの方言ではないか、と疑っておりました。いかにも方言臭くないですか?「はかが行く」ですもん、何せ。

そこで試しに「大辞泉」引いてみました。するとねえ、堂々と載っておりましたです、「はかが行く」。ちなみに「はか」という言葉がまず出てくるわけです。「はか」とは「仕事などの進み具合、やり終えた量」という意味ですが、さてどういう漢字を書くと思います?

私は直感的に「量」の訓読みが「はかる」であることから「量(はか)」という字が浮かんだのですが、でも「量る」は動詞で名詞で「量(はか)」とは言わんか、と自信は無し。

で、辞書に載っておりましたのは「計」「量」「果」「捗」の四つ。「量」も正解でしたねえ。やはり「たくさんの量できた~!」という感じもあるんですね。

さて、「捗」は「進捗(しんちょく)」の「捗(ちょく)」という字でして、これ単独ですと「はかどる」と読みますね。て言うか、普通「はかどる」という字は「捗る」しか思い浮かびませんし、ワープロの変換でもこの字しか出てきません。

しかし、「はかどる」ってどう見ても「はか」+「取る」、つまり「はか」が一杯取れて「はかどる」になった気がしませんか?そこで、大辞泉の「はかどる」を見ますと、「捗る」以外に「果取る」が出て参りました。そうですね、「はか」は「果」とも書きました。さらに~「はかばかしい」も「果果しい」であるという「果果しい」結果に。

こういうのが辞書を引く醍醐味ですね。では「はかが行かない」のは何なんだ?えっ!「はかない」?いや「はかない」は「儚い」でしょう。いやいや、「はかない」もまた「果無い」もしくは「果敢ない」とも書くんだそうです。やはり、作物などの収穫に対する一喜一憂が言葉を生み出したのでしょうね。

さて先日、子孫に墓守をしてもらえないのではという不安から、あるいはさせるのが可愛そうということで、墓石の中の骨を海へ散骨して先祖代々の墓を閉じる「墓じまい」をする老人の記事が新聞に出ておりました。そのうち「はかない」の漢字に「墓無い」というのが加わりそうな予感がいたします。

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