貴翰拝誦

テーマ:言葉・漢字
4/20の毎日新聞の「週刊漢字 読めますか?」の中に出されていた「貴翰拝誦」なる言葉。読むことも意味もわからなかったのですが、これで「きかんはいしょう」と読み、「お手紙をお読みしました」という意味だそうな。

返書の冒頭に使うもので、太宰治の書簡小説「虚構の春」で、太宰宛ての「井伏鱒二の手紙」の初めに出てくる、と解説されていました。

なるほど、手紙やはがきを頂いて返事を書く際に、単に「拝復」と書いたり「お手紙(お葉書)ありがたく頂戴いたしました」と書くことはありますが、こんなかっちょいい用語があるんですね。

「貴翰」は「貴簡」とも書く、とありましたが、「簡」とは「中国で紙の発明以前に文字を記した竹や木の札」のことだったんですね。ここから転じて、書簡という意味になったようです。ちなみに文字を書いた竹札や木札をひもでとじると一枚ずつ間があくので「竹+間」で「簡」というそうな。

一方「翰」の方は、「幹」に似ておりますが「羽」という字が含まれていることからなるほどと納得するんですが、これ「羽毛でつくった筆」を意味するんですね。そこから転じて文章や手紙を意味するようになったらしい。

ま、竹や木の札である「簡」よりも「翰」の方が何となく格好いいし、あまり見慣れない字でもあるし、小説家としては使いたくなるところでしょうね。今度いっぺん使てみたろ。てか、メールの普及で最近手紙や葉書はあまりもらわなくなりましたな。

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