慮外

テーマ:言葉・漢字
一昨日の毎日新聞の社説を読んでいたら、今回の文化庁の国語世論調査を見て目を引いたのは「対人関係に表れた最近の若者の傾向」だ、と書かれていました。

「相手や場面に合わせて態度を変える」という人が10代後半で63%、20代では69%と高く、30代以降年をとるに従って低くなっているようです。また相手や場面によって自分の態度を変える、つまり「空気を読む」「キャラを演じる」ことが若者にとって日常的になっていることが指摘されていました。

自分の子どもたちに話を聞いても、まさにこの傾向は疑いようのない事実。毎日新聞の社説では建設的な議論を深めていくことが民主主義の基本なのに、摩擦を恐れて口論しない、波風を立てない、若者のコミュニケーション術は問題だ、と警鐘を鳴らしていました。

さて、三役修業塾で現在、「奥州安達原三段目」いわゆる「袖萩祭文」と呼ばれる段の稽古をしているのですが、その中に「慮外」という最近では使われないことばが頻繁に出て来ます。字からすると「考慮の外」ということですから、「意外」「想定外」と似た意味なのかな?と思うわけです。

確かに「慮外」は文字通り「思いがけないこと」を表す言葉なのですが、転じて「無礼であること。ぶしつけ。非常識」という意味になるようです。現代だと「失礼とは存じますが」とか「ご無礼ながら」というところで、「ご慮外ながら」などと言ったんですね。

回りに慮(おもんばか)ってばかりいるという若者世代。。名実ともに「慮外者」は死語になってしまうのでしょうか...。

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