扇子とおねがいします

テーマ:曳山・歌舞伎
この間の日曜日、曳山博物館で三役修業塾の素浄瑠璃発表会がありまして、不肖私も「仮名手本忠臣蔵三段目 殿中刃傷の段」、いわゆる「松の廊下」の場面を語らせていただきました。

ついつい感情移入をして舞い上がってしまいがちなのですが、三浦しをんさんが「あやつられ文楽鑑賞」という本の中で、大夫は「小説家」のようでなければならない、と書いておられました。つまり「トリップ感と冷静さの塩梅」が必要だと。心しておきたい言葉です。

さて、昨日ある方に「油甚さん、中日新聞にカラー写真で写ってやありましたで」と言われまして、ほんまかいなと曳山博物館に確認に行ったら、私も含めてどなたも購読者がおられないようで、事務局の皆さん一様に「え?そうなんですか」と。

ネットで調べてもらいましたら、ホンマや出てましたわ 
中日新聞
曳山の上ではこういう格好はいたしませんが、人様の前で語らせていただく場合はこのように裃をつけ、袴もしくは袴様の前掛けをいたします。さらに大夫は必ず扇子を携帯いたします。もちろん暑いときにあおぐためでもなく、落語のように、それで蕎麦を食べる真似をするためではございません。

これはまさに懐剣を擬したものでありまして、もし万が一しくじったら腹を切る覚悟で語るということなんだよ、と師匠に教えていただきました。もちろん、実際にはしくじっても腹を切ることはなく、むしろ冷や汗をぬぐうために、もう一つの必携品、手ぬぐい(これも落語と同じですね)の登場となるわけです。

ところで、プロの太夫さんたちは出番になると、楽屋に残っている他の太夫さんに「おねがいします」と言って舞台へ向かわれるそうです。何をお願いするんでしょうね?

どうやら、語っている最中に脳がプッツンするなど万が一何か起こった際には「あとはよろしく」という意味なんだそうであります。確かにトリップ感に浸りすぎるとそういう事態も可能性なしとはいたしませず、そういう意味でも冷静さとの塩梅が必要ですね。

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