おちの人

テーマ:曳山・歌舞伎
今年、故有りまして北町青海山の太夫として曳山祭に出場させていただくことになりました。芸題は「恋女房染分手綱 重乃井子別れの場」。通称「恋十」と云うそうですが、長浜では主役の乳母の名から「重乃井」あるいは子役の名から「馬方三吉」などと呼ばれる芝居です。

台本をいただいたのですが、浄瑠璃の中でも意味が分からなかったり聞いたことがない言葉が出てきます。例えば馬方三吉の行動に関して「♪馬やろ~ぞいのと つこうどなる」という浄瑠璃が出てまいります。

「つこうどなる」って何?と思いますよね。「つこう+どなる」で何か知らんけど怒鳴ってるのかと思いましたら、「つこうど」というのは「つっけんどん」ってことらしいですね。私もつこうどな男かも知れません。

さて、その身分の低い馬方三吉が、実は若君の乳母重乃井の実の息子だったという設定なのですが、この重乃井を称するのに「おちの人」という言い方が出てまいります。旧浅井町に大路という地名があり、これは「おおじ」ではなく「おち」と読むそうですね。でも、もちろん「大路の人」という意味ではありませんよ。

これね、「御乳の人」と書くそうな。そう、まさに「おちちの人」ですな。乳母ですからね。しかし、何とストレートな言い様でしょう。ところがね、これは単なる乳母ではないようです。

江戸時代には貴人の子供には乳母がつくのが慣わしでしたが、単に乳を飲ませるだけの人は「お差し」と云い、抱くだけの「抱き乳母」というのも居たそうです。で、幼児の保育全般に携わった乳母こそが「御乳の人」もしくは「御乳(おち)」と呼ばれたそうです。

しかし、乳専門の「お差し」ってのもどうなんでしょうね?やっぱり、おっぱいやってて身動き取れないところから「お差し支え」なんて言葉が出来たのよ、なんてオチを考える余裕があった人が「オチの人」だったのでしょうか。

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