束の間と不束

テーマ:言葉・漢字
昨日のブログに書いた谷川俊太郎さんの「だいち」という詩。最後の行は「だいちのうえの つかのまに」なんだそうです。私は「だいちのうえや」かと思ったんですけどね。whereとかけてるんかてか?ほうや。

さて、先生が「ところでみんな束の間ってわかるわな」と問われますと「一瞬」とか「ちょっとの間」とかいう答えが返ってまいります。「ほうやな」と言って先生、こぶしを握ってみせて「束の間の束というのは、このにぎり拳の長さを表すんだそうですよ」と説明。

ほぉ~、そうだったのかぁ、と帰って「ことばの由来」(堀井令以知/岩波新書)を開いてみると、ほんまや書いたる、書いたる。「束(ツカ)」は「タバ」とも読むように、稲の束ねたものを数える単位でもあるそうな。

「十把一からげ」てよう言いますやろ。あれは十羽一唐揚げとちゃいまっせ。一把は一握り分の稲で十把が「一束(ひとつか)」。いずれにしても、こうしたツカから転じて「一束ほどの短い時間」という意味で「つかのま」という語ができたそうですわ。

一方、行き届かないとか不調法という意味で用いられる「不束(ふつつか)」という語もあるわけですが、もとは太くてしっかりとしていること、立派で丈夫なさまを意味してたんだそうです。

ふつつかの「フツ」は太いということ、「ツカ」は上記の稲などの束ねたものを数える単位ですから、平安時代においては「フツツカ」は太くて丈夫なことだったんですね。

「宇津保物語」の中には「いとおほきやかにふつつかに肥えたまへるが」という文が出て来るようでありますが、「ふつつか」が現代のような意味になったのは、太くて丈夫な人に不束者が多かったからなのでしょうか?

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