大丈夫

テーマ:言葉・漢字
1/18の朝日新聞beに、最近本来の「心配不要」とは違う意味の「大丈夫」が乱発されているということが書かれておりました。その例の1番目に揚げられていたのが、ガソリンスタンドで店員が「灰皿は大丈夫ですか」(タバコの吸殻はなどは捨てなくていいですか)、というもの。

これ、私言いますわ、実際。他のスタッフがただ単に「灰皿は?」とお客さんに問いかけるのを聞いて、何か少しぞんざいというか丁寧さがないな、と感じ、いつの間にか上記のような表現を使うようになりました。

コラムの中では、こういうケースで「大丈夫」を媒介に会話すると、相手との「イエス・ノー」の意思の交換が、するっと滑るように済ませられる、とうまく解説されていましたが、そうそうそんな感じ。

「よろしいでしょうか?」は形式すぎるし古くさい、「いいですか?」は率直すぎて使いにくいと感じる世代が増えると、それに代わる適当な言葉が探され、それが「大丈夫」なのかもしれないと。なるほど、なるほど。

また、最近は「婉曲的な断り」として「大丈夫です」を使用するケースが増えているが、これは「◯◯しなくても結構です」が、単なる「けっこうです」に省略されたのを、誰かが「大丈夫」で代用し広まったと推測されるとも。「◯◯しなくても大丈夫」→「大丈夫」ってことか。

そもそもは「意思のしっかりした男性」「ますらお」という意味の「丈夫」に「大」がついた褒め言葉だった「大丈夫」が、「意思をはっきりさせたくないナヨナヨ」に多用されるってのも皮肉なもんですね。

内館牧子さんは『カネを積まれても使いたくない日本語』(朝日選書)で、「大丈夫ですか?」を「~とか」「~のほう」同様、「断定回避の法則から生まれた用法では」と推測し、「この程度の問いかけさえ、スパッと言わないとなれば、日本人の病巣は深い」と断じているそうです。

私は、少し体の調子が悪いけどさほど病巣が深いとも思われない時に、「大丈夫?」と聞かれた場合、「小丈夫!」とスパッと答えておりますが、何か?

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