しこたま

テーマ:言葉・漢字
昨日、ゆうこりんさんのブログに「弁慶の泣き所をしこたま打った」と書いてあったのを見て、松男さんから「『しこたま』の語源は何なんでしょうね?」というパスを頂戴いたしました。ありがとうございます、ネタができましたがな。

早速ネットの語源辞典で調べてみますと、ほぉ~ぅ、元々は九州の方言だったとあります。「しこ」+「たま」の合成後だとも。何だか両方共滑稽味のある言葉ですね。

さて、まず「しこ」は「これしかない」などと使われる「しか」のことで、相撲の「四股」が当て字として使われていたこともあり、そのイメージから重さなどの量の意味が強まった。とあり、「たま」の方は「たんまり」の略。よって、量が「たくさん」、「どっさり」という意味合いで用いられるわけですね。

しかし、どうも「しこ」の方が納得いきませんな。むしろ「しこ」というのは「醜」と書き、「醜女(しこめ)」「醜名(しこな)」など醜悪なもの、憎みののしるべきものなどにつける接頭語と考えた方がいいのでは。つまり「好ましくないものがたくさん」というニュアンス。

「語感の辞典」を見てみますと、「数量の甚だ多い意で、くだけた会話に使われる俗っぽい和語。『―儲ける』『―溜め込む』『―買い込む』など、やや非難めいたニュアンスが伴いやすい」とあります。そうそう、やっぱりいい意味では使われんのですな、この言葉。

大辞泉見てたら、面白いですね、「しこたまる」なんて動詞まであることがわかります。「たくさん溜め込む」あるいは「金品を着服する」という意味だそうです。やっぱり「醜く溜める」→「醜溜」→「しこたま」じゃないでしょうかね。

てことで、「弁慶の泣き所をしこたま打つ」とはどういうことなんか?「腰をしこたま打つ」とかもよく言いますよね(たまはしこたま打つと大変)。でも、これって多分「したたか(強か)◯◯を打つ」の「したたか」を「しこたま」とうっかり間違えたのが定着したものなんではないでしょうか?

こうやって用法が変遷していった言葉は「しこたま」あるんでしょうね、きっと。

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