ぬかにカギ

テーマ:油甚本店
今年も我が家に新米が届きまして、日本人としての喜びを感じる季節が参りましたが、米といえば、9/26の日経新聞に「コメに糖尿病予防効果?」という見出しのコラムが掲載されておりました。

最近の研究で、日本人が主食としてきたコメに糖尿病を防ぐ効果があることが分かってきたらしく、特に「ぬか」成分に秘訣があるようです。ぬかは玄米をついた時にできるわけですが、ビタミンなどを多く含み、ぬか漬けの床をこねると手肌がスベスベになると申します。

専門的には、米ぬかに多く含まれる「ガンマオリザノール」という成分が、免疫物質とくっついてアトピー性皮膚炎を防いだり、糖や脂肪の分解を促す「アディポネクチン」たんぱく質の分泌を強めて糖尿病を予防することが、わかってきたそうです。

日本人はこの「アディポネクチン」をつくる遺伝子に欠陥をもつ比率が高く、放っておけば糖尿病になりやすいところをコメを主食とすることで補ってきたのに、最近のコメ離れによって糖尿病になりやすくなったのだ、と専門家は指摘しています。

米ぬかといえば玄米ですから、「やっぱり玄米食は体にいいんだ~」と玄米愛好家を喜ばせようという腹積もりではござんせん。私も一介の油屋でござんす。コラムには「ぬか成分は玄米食でも取れるが、より多く含まれるのが米ぬか油だ」と続きます。

「米ぬか油」には悲しい歴史があり、これが尾を引いて、なお現在もあまり利用されない大きな原因となっているようです。それは1968年に起きた「カネミ油症事件」。製造工程でPCBという有害物質が混入し、全国で1万人以上の被害者が出たのです。

悪いのはPCBで、こめ油自体には全く問題がなかったのにイメージが回復していない、と専門家は見ているようです。まさに食用油界の「えん罪」であります。

現在、日本では年間100万トンの米ぬか生産量があり、半分の50万トンは業務用の油として利用されているが、残り50万トンは廃棄させているとのことです。「米ぬか油が復権すれば、糖尿病の予防と資源の有効利用の一石二鳥になるのだが、よい方法はないか思案している」。そんな言葉でコラムは締めくくられておりました。

玄米サラダ油1リットル700円

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