色模様

テーマ:曳山・歌舞伎
一昨日のブログで、歌舞伎では若い娘やお姫様などの役柄が激しい恋心を高ぶらせ、激情に走る場面に「人形振り」の演出を用いることが多いようだ、と申し上げました。

実際、注意深く芝居を見ておりますと、矢口渡のお舟などは、一目ぼれした男(義峯)に対して、かなり挑発的に誘いの言葉を投げかけております。義峯も義峯でして、恋人を連れ立っているというのに、お舟の誘惑に負けて情を通じてしまいます。

えっ!何でそんなことわかるのぉ?「そんな場面なかったよぉ~」と芝居を見た方はおっしゃり、「それなら、見に行けばよかった」と見てない人はおっしゃるかもしれません。

歌舞伎には「濡れ場」という言葉がございまして、文字通り男女の愛の交換を表現する描写なわけですが、芝居によってはかなり直接的で煽情的な場面もあるようです。しかし、まさか曳山の上でしかも子ども役者にそんなことをさせるわけには参りません。

そこまでは行かなくても男女が情を通ずるシーンをさらっと淡く演ずるのを「色模様」と呼ぶようでありまして、この場面が「矢口渡」でも出て参ります。
義峯とお舟
このように、男女が寄り添って互いに見つめ合い、静止のポーズをとるのが愛の恍惚境の姿というわけです。じゃあ、もう一方の「本朝廿四孝」の激情姫の八重垣はどうなんじゃい、と思いますでしょ。
ほれこの通り勝頼さんとやってます
より正確には、「女が男の膝にもたれ、男が右手を額に当てる」ことで、「男女が情を通じた」ということを表現するんだそうです。

今年の米原曳山祭では、出場2町ともに情熱的で積極的な女性を描く芝居が演じられました。偶然でしょうが、男性の草食化、女性の肉食化という時代を反映したものとなりましたね。


(参考)
「歌舞伎図鑑」 (別冊太陽)
「カラー歌舞伎の魅力」 (淡交社)



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