黒足袋白足袋

テーマ:よもやま話
最近、同級生のくんさんが「さらりぃーまんの日々」なるブログを書き始めましたが、私も20年近く前までは東京でサラリーマン生活を送っておりました。こちらに帰ってきて生活上最も大きな相違点の一つとして、お葬式に参列する回数の多さが挙げられます。

親戚は元より、個人的な親交、諸団体上のお付き合い、あるいは仕事上の取引関係等で参列する機会が飛躍的に増えました。そこでいつも悩んでしまうのが遺族の方々へのお悔やみのあいさつ。特に親しくしている方ですと、自然とお悔やみの言葉も出てくるのですが、そうでもない場合は一体どのように言うのが適切なのか?

ある指南書には「悲しみの中にいる人は、どんな慰めの言葉も届かないと思いますので、言葉をかけるより目を合わせて、一緒に悲しみの気持ちを共有することもよいと思います」などと書かれておりましたが、黙って目をパチパチしてサインを送るのも変ですし、大の大人があいさつもできんのかい、と思われてしまいそうです。

私は大概「このたびはご愁傷様でございます」という紋切り型で済ましているのですが、このやり方も無難だと指南書には書かれておりました。よく「どうぞお気を落とされませんように」とか「お疲れが出ませんように」とか励ましの意味でおっしゃる方がいらっしゃいますが、冷静に考えると、まず無理な注文と言えましょう。

まあ、どんな言葉をかけようが、遺族側は「お忙しいところをありがとうございます」とか「存命中はお世話になりました」等々、何らかのお返しのあいさつをお辞儀とともに繰り返し行なわねばならないわけで、これだけでもお疲れが出ないわけがありません。

そういえば、以前義兄が、こういう場合は、会葬者も遺族もお互いに「黒足袋、白足袋、黒足袋、白足袋...」と口の中でもごもご言っていれば、何となくそれらしく聞こえるものだ、と言っていたのを思い出しました。

確かに「この度は、どうのこうの」と丁寧なあいさつをしているような気にもなって参りますし、頃合を見計らって言うのをやめればいいわけで、お互いあまり気を使うこともありませんね。

これは、お葬式のあいさつに限らず、おめでたい席だとか、頂き物の御礼だとか、日常の色々な場面でも使えそうな気がします。今度お会いしたら「黒足袋、白足袋」の交換いたしましょうか。

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