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大根の花を

テーマ:曳山・歌舞伎
曳山祭には各町に太夫、三味線が一名ずつ。青海山以外は松竹所属のプロの方や全国の地芝居や踊りで活躍されているセミプロの方たちばかり。

せっかくそんな達人たちがお見えなので、席を設けて三役修業塾の有志でお話を聞こうということになり、まず12日には月宮殿の太夫を務められた竹本美功先生に。

美功さんは80歳を過ぎておられるのですが、今なお現役で東濃を中心に活躍中。10年前に直腸がんで余命2年と宣告されながら、薬功、家族の介抱、ご自身の精神力と信仰の力で完治され、今年などは既に年末までに公演スケジュールがびっちり埋まっているそうです。

美功さんの語り口は刺々しいところが全くなく、角が取れ耳触りが非常に良いのです。私たち素人は、甲(高い音)の部分で変に力んでしまったり、乙(低音部)が下がり切らなかったり、色々と悩みを抱えているわけですが、頂いたアドバイスの要点をまとめてみると、

1.「床(太夫、三味線)は刺身のつまであることを忘れるな」: 歌舞伎の場合は主役はあくまでも役者。自分が気持ちよく語るのではなく、役者の動きの寸法に合わせて、役者を引き立てるために語り、演奏すること。

2.「音は外しても間は外すな」: 素人は節を気にする、つまり音を外さないことに気が行きがちだけれど、大事なのは間(ま)。少々音程は外れても間が合っていれば問題ない。

3.「乙(低音)は地を這うように、甲(かん:高音)は鼻に抜けるように」: 特に高音部はついガナったり、裏声に逃げたりしがちなのですが、「鼻に抜けるように」というのは、なるほど納得。

4.「役者の気持ちになって語る」: よく歌うのではなく「語る」のだと言われるのですが、確かに役者の気持ちになれば、いくら三味線の節がついていても、それにつられることなく変な訛りにもならずに語れるはず。

5.「声が小さいからこそ聞いてくれる」: やたら大声を張り上げればいいというものではない。特に本行のオクリなどは、低く小さい声でやるからこそ、お客さんも静かに耳をすまして聞いてくれる。

6.「最終的に、◯◯流と言われるようになれ」: 私たち素人は師匠やプロのテープを聞いたりして、その語り口を真似ようとするわけですが、いずれは◯◯流という自分の語りを確立すること。守破離ということなんでしょうかね。


う~ん、しかし子供歌舞伎の場合は、やっぱり刺身の「つま」と言うより、少なくとも「醤油」の役割を果たすことが必要な気がするなぁ。いや、せめて「わさび」で。といった欲がいかんのだな。大根は大根らしく大根の花を目指すか。 

交換

テーマ:よもやま話
先日、某自動車整備工場に集金に行った時、社長さんが車のタイヤ交換で忙しそうにされておりましたので、申し訳無さそうに

私: 「あの~、集金に寄せていただいたんですけど、よろしいですか?」

社長さん: 「あ~ん、油甚さんかぁ、ちょっと待ってなあ」

と仕事の手を止めて事務所の方に。

社長: 「いくらや?」

私: 「◯◯◯◯円です」

社長: 「お宅もタイヤ交換大変やなあ」

私: 「え~、まあ」

と答えつつも、自分が実際現場でやってるわけでないし、もう交換のピークも過ぎてるし、と思いながら社長さんの顔を見ると、怪訝そうな表情...

集金が終わって車に乗り込んだ時にふと、もしかしてあれって「タイヤ交換」ではなくて「大役」だったのかな?と気づきまして。まあ、大役もできたら交換してほしいんですけど、とりあえずネジをきっちり締めて参りたいと思います。

高い所からではございますが

テーマ:曳山・歌舞伎
長いようで長かった、短いようで短かった曳山祭が終わりました。今年は本当に天候に恵まれましたね。関わられた皆さんの精進の賜物でしょう。

昨日は後宴ということで、11時半から文芸会館での公演。その後、午後3時、午後4時半の自町公演、そして午後7時半から千秋楽。

通常は太夫と三味線は舞台障子の裏側で語り、演奏を行なうのですが、何と千秋楽は特別に足場を組んでいただき、その上でいわゆる「出語り」をさせていただきました。
曳山の左斜め前方で
足場の高さは曳山の舞台とほぼ同じで、しかも柵がないので、ちょっと感情が高ぶってバランスを失ったら、そのまま真っ逆さまに落っこちるんではないかという恐怖に慄きながらの上演。

見台を両手でしっかりと抱えながらやっていたのですが、そのうちだんだん芝居に入り込んでしまいまして、最後は語りというより、思いきり歌ってしまいました。これでは太夫失格ですなんですけど、千秋楽に免じて許して下さいませ。

カラオケはストレスが溜まることが多いのでほとんど歌わないことにしているのですが、今回の千秋楽の浄瑠璃ではカタルシスを味わうことができました。青海山の皆さん、いいお祭りを本当にありがとうございました。お疲れ様でした。

曳山外題考2014

テーマ:曳山・歌舞伎
昨日は午前中に2本青海山の自町狂言を終え、我々は御役目御免。午後からは登り山。4番山から順に八幡宮へと向かいます。(写真は当店前を通過する一番山の青海山)

この後、3時頃まで胡麻油を瓶詰めして、私自身も八幡宮へ。目的は今年の各町の外題調べ。全山一斉に見られますし、当町の方に分かる範囲で読み方や込められた思いなども聞けますからね。
左から青春月諫の各山

(読み方はすべて推測ですが)まず、一番山の青海山は「逢時雨百千色総(あいしぐれひゃくせんいろのたづな)」。実の息子との出逢いと別れ、そして今のやるせない自分の立場を百千色の憂き涙を流して嘆く重乃井の感情を現しています。「総」は「たづな」と読むそうな。

同町は、これまで私の同級生で45年前に三吉を演じたI君のお父さんが外題を考えておられたようですが、今回は振付さんの案と自分のそれを比較検討し、振付さんの案を採用されたそうです。

二番山の春日山は「奪太刀連舞(うばうたちのつれまい)」。演目が「太刀盗人」ですから、まあ芝居の内容を直接外題にしたような感じです。見たところ、人の手によって筆で書かれたものではなく、ワープロ文字のカッティングシートに見えるのは気のせいか?

三番山の月宮殿は「雪明知烏鷺忠節(ゆきあかりしらすうろのちゅうせつ)」。芸題は「碁盤太平記」。烏鷺(うろ)は烏(からす)と鷺(さぎ)。つまり黒と白で碁盤を意味するそうな。こりゃよく考えられてるな、と思ったんですが、同劇を演じた昭和46年の翁山の外題が「雪明烏鷺眴(めくばせ)」。あるいは参考になされたか?

四番山の諫皷山は喜劇お祭提灯に取材した振付水口氏のオリジナル作品「喜有福満祭提灯」で外題は「澄心輪福富(すみしこころめぐるふくととみ)」。昨年の漢字に選ばれた「輪」を「めぐる」と読ませ、金が人の手から手に次々と移っていく芝居の内容を表したそうな。

同町は近年は元曳山博物館館長のN川氏が命名されていたようですが、今年は若衆の中でもアイデアを出し合い、結局N川さん案ではなく、若衆案が採用されたとか。町内の多くの人が外題付けに関わるというのは喜ばしいことだと思いますね。

なお、外題は5文字または7文字で構成されるのですが、青海山は年によりいろいろ、春日山は平成8年以降前回までは7文字、月宮殿はここ7回は7文字。そして諫皷山は少なくとも大正以降一貫して5文字と、町によって特徴があるようです。  

青春月諫

テーマ:曳山・歌舞伎
昨日は朝6時半に家を出て曳山祭の御幣迎えに。11時からはまちづくり役場で、青海山の振付さん、三味線さんとともにKBSラジオ「さざナビゲーション」の生放送に出演。

そして午後はいよいよ籤取り。一番山になると三番叟を演じるわけですが、踊り手は公募の小学生。三味線は三役修業塾生で中学3年生の中川君。以前は三味線の演奏だけだったのですが、昨年からは一番山の太夫が節を語ることになりました。

確率は1/4で、私が太夫を務める青海山は過去一番山になるケースが最も多い町ですので、逆に当らないだろうと高をくくっていたのですが...。2時過ぎにもうそろそろ結果が出たかなと表に出てみると、三味線奏者の賀祝さんが、何とも言えぬ複雑な笑顔でこちらにやって来るではありませんか。

「え、結果出たん?」と聞きますと、「一番や!」と。「うっそ~」「ほんまやて。一番やて」。ありゃま、こりゃま、ってことで二人で曳山博物館のワークルームに向かいますと、そこには三番叟振付の小紫八さんと、三番叟演者のK君とそのご両親が総当番の挨拶に備えて待機中。

K君のお兄ちゃんも平成19年、すなわち八幡宮に12基が勢ぞろいした記念すべき年に三番叟の経験をしており、その時の一番山は我が伊部町翁山でした。しかも、K君のご両親は、私そして賀祝さんとは小学校時代の同級生。

この顔ぶれを見て、思わず賀祝さん、「これはもう当るべくして当ったわ」と。前日の晩、今年のくじ順を冗談で「青春月諫」(青海、春日、月宮、諫皷)ちゃうやろか、と予想したのですが、本当にその通りになってしまいました。

ちょっと歳は食ってしまいましたが、祭で係わった同級生たちとのやや遅めの青春月間を楽しく過ごしたく存じます。

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