更なる誤り

テーマ:言葉・漢字
一昨日のstudioこほくの公開生放送は「三役修業塾」特集でして、実はこっそり出演してまいりました。そこで、タイトルの書かれたフリップの文字がどうも変だと思い、よく見てみると「曳山祭」の「曳」が「更」の「一」を取った字になっており、思わず「違うでしょ!」と大人げない指摘をしてしまいました。

この誤字についていつか書いたことがあるなと思い調べてみましたら、5年前に「曳尾(えいび)」という題のブログの中で、西中生の1/3が同様の誤りを犯していたことを指摘していました。

まず実生活の中で「曳山」の「曳」という字を使うことがほとんどないことに加えて、「更マイナス一」の方は、「更に」や「便」など頻繁に使う文字に含まれるから、ついつい習性で筆が動いてしまうんだろうと想像いたします。

さて誤りといえば、昨今「更なる(さらなる)」という言葉が当たり前のように使用されていますが、実はこれも文法上は誤り。この言葉が使われ始めた頃に妙な違和感を感じていたところ、野口悠紀雄さんが「超整理日誌」や「時間旅行の愉しみ」などの著書の中でその誤りを指摘され、溜飲を下げたことを覚えています。

すなわち、「さらに」という言葉は副詞であり、これを「さらなる」と活用することはできない。もし「さらに」が形容動詞の連用形で「さらなる」はその連体形であるとすると、終止形は「さらなり」となるが、これは「いうまでもない」という意味になってしまう。

もっとも最近では、NHKのアナウンサーも平気で使用しますし、それらしく掲載している辞書もあるようで、クリミアをいつの間にか乗っ取ってしまったロシアのような勢いを感じさせます。

そういうお前こそ、先日「さらなるごえんを」なんていうタイトルで書いてたじゃないかって?そうなんです。最初は「一層のごえんを」という題にしていたのですが、どうもしっくりこないんですよね、「一層の」では。

「さらに」のニュアンスを名詞にくっつけたい時に「さらなる」を上回る適語が見つからないというのも「さらなる」の「さらなる」利用を阻止することができない大きな要因でありましょう。

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