よろけるとよろめく

テーマ:言葉・漢字
昨日の週末の食卓に母が放屁とともによろけた話を書きましたが、実は「よろける」と書くべきか、あるいは「よろめく」なのか「ふらつく」なのか迷ってしまいました。

こういう時に頼りになるのが、「語感の辞典」。これらの語はニュアンスにどのような違いがあるのでしょうか?

まず、「ふらつく」は「ふらふらして安定しない意」とあり、「つまずいて」のように急な衝撃の後には続きにくい、と書かれてますから、この状況的にはふさわしくないかもしれませんね。

私が選んだ「よろける」は、安定を失って足許がぐらっと揺れて倒れそうになる意で、会話や硬くない文章に使われる日常の和語、とあり、用例は「立ち上がった拍子に足許が―」「一瞬めまいがして思わず―」。

さらに「よろめく」に比べ、「石に躓いて―」のように、その一度の足許のぐらつきをとらえた感じが強い。また、「よろめく」と違って比喩的な用法はなくもっぱら具体的な動きをさして使う、とありますから、やっぱり「よろける」が正解なんでしょうね。

さて「よろめく」はどうでしょう。足許が不安定で足取りがふらつくという意味では同じなのですが、一瞬の動きに中心のある「よろける」に比べ、この語は一瞬だけの場合もあるが、何度も繰り返しながら移動するイメージが強い、と。つまり「おならを連発しながらよろめく」感じでしょうか?

そして、「よろめく」には「人妻に―」のように、ふらっと惹かれる用法もあると書かれておりますが、「よろめきドラマ」とかいう言い方はよく耳にいたしますが、これは昭和32年刊の三島由紀夫の小説「美徳のよろめき」から流行したそうです。確かにふらっと惹かれて使いたくなる魅力のある語ではありますな。

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