猫の日に
テーマ:言葉・漢字
2015/02/22 08:58
今日2月22日は猫の日なんだとか。何でやてか?新聞で読んだところでは、猫の鳴き声の「にゃん、にゃん、にゃん」と「222」の語呂合わせだそうです。
そんな安易なぁ~、と思うなかれ。そもそも漢字の「猫」がほぼ同じ発想で生まれたらしい。猫は「犭(けものへん)+苗」ですが、「苗」という字が呉音で「ミョウ」「メウ」であることから鳴き声に由来した字だというのです。
もう一つの説があって、それは「苗」という字の原義「なよなよとして細い」から、猫は「体がしなやかで細いネコ」を表すというものらしいですが、じゃ丸々と太ったネコはどうなるんだ問題が生じて来ますもんね。
さて、大漢和字典で調べていましたら、「猫」という字には正字があることを知らされました。それが貓です。
「豸+苗」なんですが、この「豸」という旁を「むじなへん」というそうな。ちなみに「むじな」については、こちらのブログを参考にしていただきたいのですが、漢字では「狢」「貉」と書きますね。
そもそも、「豸」という字は「のそのそ歩く獣を描いた象形文字」だそうですが、現在一般的にこの字を使っている動物は「豹(ひょう)」もしくは「貂(てん)」くらいではないでしょうか。
もっとも容貌の「貌(ぼう)」にもこの字がついていますね。「にんべん」ではなくて「むじなへん」ってことは、元々は人の顔ではなくてけものの顔の様子を表す言葉だったのでしょうか。
それとも、けものみたいな容貌の人に驚いたからなんでしょうか。猫の日の話がとんだところに脱線してしみゃいみゃした。
そんな安易なぁ~、と思うなかれ。そもそも漢字の「猫」がほぼ同じ発想で生まれたらしい。猫は「犭(けものへん)+苗」ですが、「苗」という字が呉音で「ミョウ」「メウ」であることから鳴き声に由来した字だというのです。
もう一つの説があって、それは「苗」という字の原義「なよなよとして細い」から、猫は「体がしなやかで細いネコ」を表すというものらしいですが、じゃ丸々と太ったネコはどうなるんだ問題が生じて来ますもんね。
さて、大漢和字典で調べていましたら、「猫」という字には正字があることを知らされました。それが貓です。
「豸+苗」なんですが、この「豸」という旁を「むじなへん」というそうな。ちなみに「むじな」については、こちらのブログを参考にしていただきたいのですが、漢字では「狢」「貉」と書きますね。
そもそも、「豸」という字は「のそのそ歩く獣を描いた象形文字」だそうですが、現在一般的にこの字を使っている動物は「豹(ひょう)」もしくは「貂(てん)」くらいではないでしょうか。
もっとも容貌の「貌(ぼう)」にもこの字がついていますね。「にんべん」ではなくて「むじなへん」ってことは、元々は人の顔ではなくてけものの顔の様子を表す言葉だったのでしょうか。
それとも、けものみたいな容貌の人に驚いたからなんでしょうか。猫の日の話がとんだところに脱線してしみゃいみゃした。
しぶとい
テーマ:言葉・漢字
2015/02/09 09:44
先日何気なく妻に「しぶとい、ってどんな漢字書くんやろね?」と尋ねられまして、「う~ん、わからんなぁ」。そもそも、「しぶとい」は「し・ぶとい」のか「しぶ・とい」なのか「しぶと・い」なのか?
人の強情な性格を悪くいう場合に使われたり、逆に困難に遭っても粘り強いという良い意味でも使われたり、はたまた人間以外でも「しぶとい腫れ物」といった言い方もあり、まさに言葉としてもなかなか「しぶとい」ですね。
「◯ぶとい」つながりで思い浮かぶ言葉が「図太い」。さらに「野太い」という言葉もありますね。この二つは共に「太い」という漢字がついておりまして、「どちらも神経が太くて少しのことではびくびくしないさまを悪い評価を伴って表わす」と辞書にあります。ま言うなれば兄弟言葉ですね。
普段よく使われるのは「図太い」の方で、「野太い」はもう性格表現としてはほとんど使われず、わずかに「野太い声」という用法で残っているくらいでしょうか。古語辞典には「のぶとし」はあっても「ずぶとし」はないので、時代を経るうちに「のぶとし君」は「ずぶとし君」にその座を奪われちゃったのかな。
さて、「しぶとい」はどんな漢字を書くのでしょうか?結論からいうと、どうも漢字は無いということになるようですけれど、とりあえず語源としては3つほど説があるらしい。
一つは、昔の言葉「強い(しい)太し」の略かということで「強太い」。そして「為太(しぶと)でやること、行為がふてぶてしいこと」という意味から「為太い」。さらに「渋(しぶ)」に「あざとい」「あくどい」などの「とい」がついた「渋とい」というもの。
図太い、野太い、強太いとくれば、まさに松王丸、梅王丸、桜丸のような「太い三兄弟」としたいところですが、「渋とい」となると全く赤の他人になってしまいますね。いやあ、ホンマにしぶとい言葉です。
人の強情な性格を悪くいう場合に使われたり、逆に困難に遭っても粘り強いという良い意味でも使われたり、はたまた人間以外でも「しぶとい腫れ物」といった言い方もあり、まさに言葉としてもなかなか「しぶとい」ですね。
「◯ぶとい」つながりで思い浮かぶ言葉が「図太い」。さらに「野太い」という言葉もありますね。この二つは共に「太い」という漢字がついておりまして、「どちらも神経が太くて少しのことではびくびくしないさまを悪い評価を伴って表わす」と辞書にあります。ま言うなれば兄弟言葉ですね。
普段よく使われるのは「図太い」の方で、「野太い」はもう性格表現としてはほとんど使われず、わずかに「野太い声」という用法で残っているくらいでしょうか。古語辞典には「のぶとし」はあっても「ずぶとし」はないので、時代を経るうちに「のぶとし君」は「ずぶとし君」にその座を奪われちゃったのかな。
さて、「しぶとい」はどんな漢字を書くのでしょうか?結論からいうと、どうも漢字は無いということになるようですけれど、とりあえず語源としては3つほど説があるらしい。
一つは、昔の言葉「強い(しい)太し」の略かということで「強太い」。そして「為太(しぶと)でやること、行為がふてぶてしいこと」という意味から「為太い」。さらに「渋(しぶ)」に「あざとい」「あくどい」などの「とい」がついた「渋とい」というもの。
図太い、野太い、強太いとくれば、まさに松王丸、梅王丸、桜丸のような「太い三兄弟」としたいところですが、「渋とい」となると全く赤の他人になってしまいますね。いやあ、ホンマにしぶとい言葉です。
眼福
テーマ:言葉・漢字
2015/02/08 08:53
昨日の日経プラス1のコラム「コトバの百貨店」のお題は「眼福ドラマ」。イケメンがいっぱい出ていて目の保養になるドラマのことを最近はこのように呼ぶそうであります。
なるほど、ドラマのストーリーもさることながら、いかに自分の好みのイケメンが出ているか、いやイケメンやったら誰でもええ、ぎょうさん出てたらほんで満足、という人もいるかもしれません。男である自分も出演女優で見るか見ないか決めること結構ありますわ、確かに。
しかし、この「眼福(がんぷく)」というコトバは最近の造語なんだろうか?と思って辞書を引きますと、堂々と載ってますね~。いや堂々とではないなぁ。極めて控え目に、存在感を全く見せずに佇んでいました。
意味は「珍しいもの、美しいものなどを見ることのできた幸せ。目の保養」とあり、用例として「眼福にあずかる」が書かれています。これ、使えるかも。きれいな女性に対して「眼福にあずかり光栄です」とかね。
珍しいもの、美しいものを見られた幸せが「眼福」なら、いい音楽を聞けた「耳福」やら、いい香りをかいだ「鼻福」という言葉があってもおかしくないように思いますが、そういうのは無いみたいですね。
なければ作っちゃえ。美味しいものを食べた時なんかの「舌福(ぜっぷく)」なんていかがでしょう。「冬の長浜、盆梅で眼福、鴨すきに舌福、観音様に心福」とかね。
なるほど、ドラマのストーリーもさることながら、いかに自分の好みのイケメンが出ているか、いやイケメンやったら誰でもええ、ぎょうさん出てたらほんで満足、という人もいるかもしれません。男である自分も出演女優で見るか見ないか決めること結構ありますわ、確かに。
しかし、この「眼福(がんぷく)」というコトバは最近の造語なんだろうか?と思って辞書を引きますと、堂々と載ってますね~。いや堂々とではないなぁ。極めて控え目に、存在感を全く見せずに佇んでいました。
意味は「珍しいもの、美しいものなどを見ることのできた幸せ。目の保養」とあり、用例として「眼福にあずかる」が書かれています。これ、使えるかも。きれいな女性に対して「眼福にあずかり光栄です」とかね。
珍しいもの、美しいものを見られた幸せが「眼福」なら、いい音楽を聞けた「耳福」やら、いい香りをかいだ「鼻福」という言葉があってもおかしくないように思いますが、そういうのは無いみたいですね。
なければ作っちゃえ。美味しいものを食べた時なんかの「舌福(ぜっぷく)」なんていかがでしょう。「冬の長浜、盆梅で眼福、鴨すきに舌福、観音様に心福」とかね。
ほうやて
テーマ:言葉・漢字
2015/02/06 09:12
この間、人と話していて激しく同意を表す時に「ほうやて!」と言っている自分に後で気がついたんですが、これってこの辺の方言なんでしょうか?
「ほうやて」と似た言葉に「ほうよいな」もありますね。これらは標準語に直すとどうなるんでしょうね?「ほうやて」は「そうなんだってぇ」で、「ほうよいな」は「そうだともさ」か?
「ほうよいな~」は、相手から「〇〇は~か?」と聞かれた時にYes!という意味で言いますね。英語だと、「That’s right.」とか「Exactly!」という感じでしょうか。
「ほうやて」は、どちらかと言うと相手が言ったことに対して、「もっともだ」「私もそう思ってたところだ」というニュアンスも入りますね。英語だと「I agree.」「That's exactly what I thought.」みたいな。
そう言えば、いやほう言うと、この辺は「それ」を「ほれ」、「そんな」を「ほんな」、「そう」を「ほう」と言いますね。「ほうほう」いや、その場合は「そうそう」や。
先ほどは「ほうやて」や「ほうよいな」を標準語に言い換えましたが、これは関西弁だと「そやねん」ですかね、やっぱり。この辺の人はあんまり「そやねん」とは言いませんね。
「そやねん」と言うやつは、こいつちょっと関西人気取りやな、と思われるかも。いや、そう思うのは私だけか。
やっぱり湖北人は、「ほうよいな」「ほうやて」て言わなあかんな。あ、さざなみ通信の200号に湖北のことばがまとめて載ったったなぁ。あれに出たるやろか?と探してみたのですが、無い....、
いや、違うのがあったぁ~、「ほうやもいな~(そうなんですよ)」やて。こら、ひねり技を加えた「ほうよいな」の月面宙返り版みたいなもんやな。「こんなの使う人見たことないわ」「ほうやて、大げさやて」
「ほうやて」と似た言葉に「ほうよいな」もありますね。これらは標準語に直すとどうなるんでしょうね?「ほうやて」は「そうなんだってぇ」で、「ほうよいな」は「そうだともさ」か?
「ほうよいな~」は、相手から「〇〇は~か?」と聞かれた時にYes!という意味で言いますね。英語だと、「That’s right.」とか「Exactly!」という感じでしょうか。
「ほうやて」は、どちらかと言うと相手が言ったことに対して、「もっともだ」「私もそう思ってたところだ」というニュアンスも入りますね。英語だと「I agree.」「That's exactly what I thought.」みたいな。
そう言えば、いやほう言うと、この辺は「それ」を「ほれ」、「そんな」を「ほんな」、「そう」を「ほう」と言いますね。「ほうほう」いや、その場合は「そうそう」や。
先ほどは「ほうやて」や「ほうよいな」を標準語に言い換えましたが、これは関西弁だと「そやねん」ですかね、やっぱり。この辺の人はあんまり「そやねん」とは言いませんね。
「そやねん」と言うやつは、こいつちょっと関西人気取りやな、と思われるかも。いや、そう思うのは私だけか。
やっぱり湖北人は、「ほうよいな」「ほうやて」て言わなあかんな。あ、さざなみ通信の200号に湖北のことばがまとめて載ったったなぁ。あれに出たるやろか?と探してみたのですが、無い....、
いや、違うのがあったぁ~、「ほうやもいな~(そうなんですよ)」やて。こら、ひねり技を加えた「ほうよいな」の月面宙返り版みたいなもんやな。「こんなの使う人見たことないわ」「ほうやて、大げさやて」
鬼と魂と塊
テーマ:言葉・漢字
2015/02/04 09:19
昨日は節分だったのですが豆撒きをせずに寝てしまいました。妻が深夜に思い出して、一人で申し訳程度に豆を撒いたわ、と今朝言うておりました。まだ家の中に鬼が残っているかもしれません。
ところで、「鬼」というのは何であんな字を書くんでしょうね。まあ、てっぺんの点が鬼の角に、そして「ム」は鋭く突き出た歯に見えなくもありませんね。
大漢和字典で調べてみますと、「鬼」は「大きなまるい頭をして足元の定かでない亡霊を描いた象形文字」とあります。どちらかと言うと、ぼんやりとまるいかたまりのように見える亡霊を「鬼」と呼んだんですね。
これが、やがて「地獄で死者を扱う者や死人たち」や「人力以上の力をもち人間を害するもの」に意味が転じていったようです。
その道一筋の人を「◯◯の鬼」、おにのようにむごい「鬼婆」、おにのように強い「鬼将軍」など、鬼をつけて強調するのは日本的な用法。若者言葉で「おに、うまい」とかいう使い方がありましたが、あれは並外れて大きなゆりを「鬼ゆり」と言うのと同じ感覚かもしれませんね。
さて「魂(たましい、コン)」という字にも「鬼」が入っておりますが、「云」は雲のことだそうで、「魂」は「云+鬼」で「まるくもやもやした火の玉」を表すようです。似た字に「塊(かたまり、カイ)」がありますが、こちらは「土+鬼」ですから「まるい形のつちくれ」ということになります。
あ、そうそう、昔ある女性が「団塊の世代」のことを「だんこんの世代」と言ったのを聞いてぶったまげたことがあります。響きが響きだけに違うものと誤解されますので、こっそり「違うよ」とアドバイスいたしました。
そしたらつい先日、まさに団塊の世代に属する男性とお話ししておりましたら、その方の口から「だんこんの世代」という言葉が。今回は訂正する勇気がございませんでした。やっぱり紛らわしいのか「魂」と「塊」。
ところで、「鬼」というのは何であんな字を書くんでしょうね。まあ、てっぺんの点が鬼の角に、そして「ム」は鋭く突き出た歯に見えなくもありませんね。
大漢和字典で調べてみますと、「鬼」は「大きなまるい頭をして足元の定かでない亡霊を描いた象形文字」とあります。どちらかと言うと、ぼんやりとまるいかたまりのように見える亡霊を「鬼」と呼んだんですね。
これが、やがて「地獄で死者を扱う者や死人たち」や「人力以上の力をもち人間を害するもの」に意味が転じていったようです。
その道一筋の人を「◯◯の鬼」、おにのようにむごい「鬼婆」、おにのように強い「鬼将軍」など、鬼をつけて強調するのは日本的な用法。若者言葉で「おに、うまい」とかいう使い方がありましたが、あれは並外れて大きなゆりを「鬼ゆり」と言うのと同じ感覚かもしれませんね。
さて「魂(たましい、コン)」という字にも「鬼」が入っておりますが、「云」は雲のことだそうで、「魂」は「云+鬼」で「まるくもやもやした火の玉」を表すようです。似た字に「塊(かたまり、カイ)」がありますが、こちらは「土+鬼」ですから「まるい形のつちくれ」ということになります。
あ、そうそう、昔ある女性が「団塊の世代」のことを「だんこんの世代」と言ったのを聞いてぶったまげたことがあります。響きが響きだけに違うものと誤解されますので、こっそり「違うよ」とアドバイスいたしました。
そしたらつい先日、まさに団塊の世代に属する男性とお話ししておりましたら、その方の口から「だんこんの世代」という言葉が。今回は訂正する勇気がございませんでした。やっぱり紛らわしいのか「魂」と「塊」。