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娥のつく女

テーマ:言葉・漢字
韓国で起きたナッツリターン事件の当事者である、大韓航空前副社長のチョ・ヒョナ氏。財閥の会長のお嬢さんだそうですが、この方の名前、漢字だと「趙顕娥」と書くそうです。

ま、韓国はハングル文字で、最近は漢字もあまり使わないそうですが、「顕娥」なんていう名前、特に「娥」という字は日本では人名には使われませんよね。

一瞬「蛾」という字と間違えてしまうのですが、一体どういう意味なんでしょうか。女編に我ですからね、我の強い女ということなんでしょうか。性格的にはぴったりですが、いくらなんでもそんな名前はつけまい。

漢和大字典で調べてみますと、何と「みめよい。きわだった顔立ちの美人」。多く女性の名に用いると書いてあります。そもそも「我」という字が「刃の際立った矛」を意味するので、くっきりと際立った顔の女性という意味になるのですね。

そう言えば、中国の月探査計画は「嫦娥計画」と名付けられていますが、「嫦娥(じょうが)」っていうのは中国神話で月に住む美人のことなんだそうです。私は何となくカマキリの姿を想像していたのですが。(カマキリ婦人ってのもありましたね・笑)

月に住む美人といえば「かぐや姫」の日本ではどうして流行らなかったのでしょうかね、この字。遣唐使が廃止され国風文化が栄えた平安時代の日本美人はこれと対照的な細目の下膨れ顔だったことと関係するのでしょうか?

さかしま

テーマ:言葉・漢字
minoriさんが、長治庵で開かれたアロママさんのハンドクリーム教室に参加された時の写真を掲載されていたのですが、なぜかほとんど逆さま。それを「さかしま」と表現されるのに反応してしまいました。

これって「逆さま」の方言なんでしょうか。ま、意味は同じなんでしょうけど、最近は「さかしま」とは言わんなぁ。でも木之本出身の私の祖母は言ってたような気がするなあ。

ところで「逆さ」とも言いますが、これは「逆さま」の略だそうで、「逆さ富士」「逆さ睫毛」などの慣用表現以外ではあまり使われなくなり、「さかさま」よりも古風な感じになっている、と語感の辞典では説明されています。

ま、「逆さま」も「逆さ」もどちらにせよ、くだけた会話で使われる和語で、「逆(ぎゃく)」というのが正式の表現法なんですね。もっとも最近は「真逆(まぎゃく)」などという言葉が市民権を得ていますが、「まさか」も漢字で書くと「真逆」となるそうだからややこしい。

さて、実は「さかしま」は方言ではなくちゃんと辞書にも出てまいります。意味は「逆様に同じ」、ともう一つありまして、「道理に反すること。またそのさま」とあります。

笑える国語百科事典というサイトによれば、「逆しま」と訛ると、この「逆」は特に人間関係の上下を反転させる、つまり法律、権力、道徳などに逆らう反逆者的な意味が強くなる。とあります。

同じような言葉に「よこしま(邪)」がありますが、これも「横様(よこさま)」が訛ったものなんだそうです。「横」は「避(よ)け」と語源が同じで正しい道を「避(よ)けた」アウトサイダー的な状態が「よこしま」だとか。

「逆しま」は正しい道を避けただけでなく、上下関係を転覆させよう、つまり逆さまにしようというたくらみがあり、同じワルでも過激なワルなんだそうですわ。今回の選挙はメディアも含めてこんな動きは全くありませんな。

はしなくもゆくりなくも

テーマ:言葉・漢字
先日池上彰さんの番組で、先月行われた日中首脳会談で習近平主席が安部首相に対して「日本が引き続き平和的発展の道を進み、賢明な安保・防衛政策をとることを希望する」と表明したことが紹介されていました。

池上さんは、この中の「引き続き」という言葉がキーワードで、これは習主席が日本がこれまでもずっと平和的な道を歩んできたことを、はしなくも認めたことになると指摘されていました。

なるほどなぁ、と思っていたところに、妻から「へぇ~、『はしなくも』っていう言い方するんだ。どういう意味なの?」と首脳会談より池上さんの言い回しにツッコミが入りました。

「ん?はしなくも?はしなくもは、はしなくもやん。て言うか、多分「図らずも」ってことじゃないの。」と答えたものの自信がなくて辞書を引きますと、「思いがけなく、偶然に」と書いてあります。まあ、見当外れでなくてよかった。

で、これ「端無くも」と書くんですね。昔長浜に「始まりもなく終わりもなくまんなかばかりが後から後から続く恋の物語」とかいう長い名前の喫茶店があったことを、それこそはしなくも思い出したのですが、この場合「はし」は端緒、きざしの意で、これというきざしもなく、思いがけなく、という意味になるわけですね。

この類語の中に「ゆくりなくも」なんて言葉も出てまいりました。「ゆくり」というのは「ゆかり」から来ているんでしょうか、きっかけもなく、つまり思いがけなく、ってことなんでしょうが、こんな優雅な言葉使ってみたいですねぇ。

「はしなくもゆくりもなしに300議席」。なんていう選挙総括になるんですかねぇ~、安倍さん。

雙だったのか

テーマ:言葉・漢字
朝日新聞に「漢話字典」というコーナーがあって、私が漢字について書いているようなことが、もっと学術的にまじめに書かれています。てことで、適当に読み流すことが多いのですが、この間の「双」という字の成り立ちにはちょっと「へぇ~」でした。

「双」とは「双子」とか「双葉」など、同じようなものが二つ対であるような状態を指す字ですが、「又」が二つで「またまた」ってことでもないようですね。

実はこれの原字は「」。「隹」は鳥を、「又」は右手をあらわしておりますので、この字は「二羽ひとつがいの鳥を右手で持つこと」を示しているんですね。私たちが普段使っている「双」は手を二つ書いた略字なんだそうです。

さて、「雙」とよく似た字に「」があります。そう、船の数を「一隻、二隻」と数えたりいたします。しかしこの字は、鳥一羽を右手で持つことを表し、そこから「ひとつだけの」という意味にもなるんですね。

伊達政宗は「独眼竜」という異名で呼ばれましたが、通常片目のことを「独眼」という言い方はあまりしないように思います。むしろ小説などで「隻眼(せきがん)」という言葉がよく出てまいりますが、これが片目を意味することは漢字の成り立ちからも頷けるところです。

もっとも「隻眼」には「他の人とはちがった目」「物事の善悪・真偽などを見分けるすぐれた見識」という意味もあるようで、軍師官兵衛の家康が片目を閉じたような仕草をよくするのは、まさに「一隻眼を有する」ことを表現しているのかもしれませんね。

それに双眼の男だと、変なもの覗いていそうな感じですしね。

だんだん蠱惑なる

テーマ:言葉・漢字
小説などを読んでおりますと、時々普段聞き慣れないような魅力的な言葉に遭遇いたします。例えば「蠱惑的」。これで「こわくてき」と読むんですね。

蠱惑は「人の心を引きつけ惑わすこと」といった意味のようですが、妙にセクシーな女性についての表現に使われることが多く、特に「女が色香で男を惑わすこと」を表すようでございます。

蠱という字はまた恐ろしいというか、ややこしい字を書きますね。以前「虹の正体」という題で書きましたように「虫」一字だと本来は蛇のことを表し、いわゆる「虫」は元々「蟲」という字を書いたんですね。

でね、「蠱」という字の字義を大漢和辞典で調べてみますと、わ!怖いことが書いてあります。「蟲(むし)+皿(さら)」の会意文字で「多くの虫を皿に入れてふたをかぶせ、共食いさせることをあらわす」とあります。

何のためにそんなことを?と思いますわな。もともと「蠱(コ)」とは「まじないに用いる虫」を示したようで、「器の中に虫を入れ共食いさせ、生き残った虫の毒気でかたきをのろう迷信があった」なんて書いてますやん。人を呪うこと、またその人を「巫蠱(ぶこ)」なんて言うそうな。あ~、怖っ!

同じような言葉でも「魅力的」だと「人の心を快くひきつける」んですが、「魅惑的」だと「ひきつけるだけでなく惑わす」ものとなり、さらに「蠱惑的」になると「色香によってたぶらかす」となるわけで、文字通りだんだん「こわく」なっていくわけですね。

あの京都の青酸カリ殺人容疑の67歳のおばちゃんも、家族なし、資産家、年収1000万以上のおじいちゃんたちにとっては、蠱惑的だったんでしょうか。くわばらくわばら。
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