残さずのつこつ

テーマ:言葉・漢字
大阪にお住まいの砂かけじじいさんに面白い言葉を教えていただきました。「のつこつ」。私は初耳だったのですが、皆さんはいかがでしょうか?

砂かけさんの説明によると、「のつこつ」とは、
1)お腹がイッパイでもう食べられないけど、食べないといけない状態の食べ方で、2)まずい料理が出てきて食べないといけない時に用います。とのこと。

私は最初こちらで言うところの「せんどした」というのと同じ意味なのかなと思ったのですが、どうも少しニュアンスが違って、満腹もしくは苦手な料理にもかかわらず、食べ続けることを求められた時の「食べ方」を表す表現なんですね。

これを聞いて思い出したのが、やはり小学校時代の給食。今と違って、味そのものが良くなかったことに加えて、給食を残してはいけないというルールみたいなものが存在していたように思います。

好きなメニューの時はあっという間に食べられますが、嫌いなものが出ると、それこそ「のつこつ」食べなあかんことになります。不味いと意識しながら物を口に入れると、味を苦く感じる部分で咀嚼しがちになり、なおさら不味く感じるのだと聞いたことがありますが、とにかく辛いものです。

さて、砂かけさんによると、のつこつの語源はハッキリとは分からないが、ネットに「伸ばしつ凝りつ」に由来とするものがあったそうです。「筋肉を伸ばしたり堅くしたりするさま」だそうですが、今ひとつピンと来ませんね。

これはむしろ「伸ばしつ転がしつ」の省略形ではないでしょうか。すぐに口に入れるのがためらわれ、食べ物を箸で伸ばしてみたり、転がしてみたりして持て余している情景が浮かんできて、腑に落ちます。もっとも、当時の給食は箸ではなくて先割れスプーンでしたけど。

のつこつしながらも食べきれない場合はどうしたか。思わず吐きそうになってしまうこともありましたけど、妻の話によると、こっそりと机に食わしていた友達も居たとのこと。強制的に食べさせるのは今なら体罰とみなされるんでしょうね。「好き嫌いをするな」と「もったいない」が価値観として、より大きな位置を占める時代でした。

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