本物はどれか?

テーマ:言葉・漢字
私どもは文字通り「油を売る」商売をしているわけですが、この間「心臓に毛が生えているわけ」(米原万里/角川学芸出版)という本を読んでいたら、その中で次のような新聞記事を目にいたしました。

「石油関連企業の業界団体である日本石油連盟は、本日二時、連盟本部の定例記者会見において、『油を売る』という表現について、世間の見直しを促した。

連盟会長の岡部敬一郎氏(コスモ石油社長)の、『この表現は、無駄話を長々とやる、という意味で使われてきましたが、私どもが扱っておりますアブラは、今や日本の産業の血液です』という発言には、石油関係者の忸怩たる思いとプライドが見え隠れした」(朝日新聞2001年10月13日夕刊)

まじ~っ!そんなこと言わはったんかいな、ほんまにぃ。と思ったんですが、「言葉は誰のものか?」というタイトルで書かれたこのエッセイには、他にも

①日本ビリヤード協会理事会が、報道各社に(車などの連鎖的な追突事故等)「玉突き」という語の多用を慎むよう申し入れた(読売新聞2001年4月6日朝刊)

②兵庫県明石市で起きた歩道橋での圧死事故に関連して、日本将棋連盟は25日、「将棋倒し」の表現を報道で使用しないよう、報道関係の各社、各団体に要望書を送った(毎日新聞2001年7月26日朝刊)

③茶の湯文化普及協会、および製茶業協同組合は、(花柳界や芸能界で客のない暇をもてあます状態を指す)「お茶を挽く」という表現に異議を申し立てる声明を発表した(京都新聞2001年2月27日朝刊)

④東京都はり・灸・あん摩マッサージ指圧師会が「お灸」という言葉を「懲罰」の意味で使わないようにと訴えた(朝日新聞2000年12月19日)。

といった、業界団体の難癖会見が紹介されており、実際に抗議された翌日から表現を自粛するメディアが相次いだ例もあり、筆者は「こういう考えが容認されると、比喩的表現の可否は、各業界団体の諸方面に圧力をかける能力に左右されることが多くなることだろう」と苦言を呈しておりました。

まあ、「ちなみに、上記5点のうち3点はガセネタである」と最後に記されていたんですが...。アブラはガセやろな、多分。

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