子故の闇

テーマ:言葉・漢字
先日、振り込め詐欺の新名称として「母さん助けて詐欺」なんていうのが発表されていましたが、まあ実態は表しているものの、ちょっと長くて使いづらいですよね。ま、使わないに越したことはないんですけど、こんな言葉。

さて一昨日の毎日新聞の「週刊漢字 読めますか?」コーナーでは、この長い名前の詐欺に関わる漢字が出題されておりました。①子故の闇 ②騙る ③誰何 の3つ。皆さん嫁真っ赤?(しつこい・笑)

まず先に②からいきますか。「騙す」と書くと「だます」なんですけど、送り仮名が「る」ですからね。これは「だまして金品を巻き上げること。また他人のふりをすること」という意味で「かたる」と読むんですね。「子どもや警官を語った電話」などと「語る」と書くのは不適切、と書いてありますわ。

次に③の「誰何」。「だれなに」とちゃいますよ。ほら、夏になると食べたくなる果物。ペッペと種を飛ばしながら食べるやつよ。これは「不審な者に対し名を問いただすこと」と言う意味。英語ではWho is this(it) ?とか言いますね。関係ないけど「たそがれ」は「誰そ彼」から来てるみたいです。

で最後に①の「子故の闇」。まあ、これは読むのは読めますよね「こゆえのやみ」と。聞いたことありませんか、この言葉?これね、絵本太功記という歌舞伎の演目に出てくるんですよ。武智(明智)光秀が、実の親を誤って竹槍で刺し殺すわ、息子は合戦で息絶え絶えになって帰ってきて落命するわで、わや。

そんな時に、光秀の心境をうたう浄瑠璃が「♪さすが勇気の光秀も親の慈悲心、子故の闇、輪廻のきずなに締め付けられ、堪えかねてはーらはーらハラハラハラ、雨か涙の汐境 波立ち騒ぐ如くなり」。いわゆる大落としという曲で芝居のクライマックスでもあります。

この「子故の闇」、あまり深く考えずに、子どもが死んじゃったんでどうしようもない闇の中にいるような心情を表すのかな、と思っていたんですが、「親が子を思うあまりに理性的な判断を失うこと」という意味なんだそうです。

毎日新聞には、「子のため冷静さを失って詐欺に遭う親の気持ちは、このことわざで端的に言い表されている」と書いてありましたが、なるほどその通り。私には関係ないと思っていらっしゃる世の中のお母さんも気をつけて下さいよ。子故の闇はほらそこに。

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