テーマ:言葉・漢字
昨日、ていくさんが「くじら」という題で鯨食文化について熱く語っておられましたが、奇しくもその晩、太地町のイルカ漁を隠し撮りして批判した映画「ザ・コーブ」がアカデミー賞ドキュメンタリー賞を受賞いたしました。そこで、いきなり質問です。
これは紅白幕ですが、
じゃあ、これは?

「黒白幕」とはいいませんで「鯨(くじら)幕」と呼ばれます。鯨の体が黒と白の2色であること、あるいは黒い皮を剥いだ際の身が白いこと、に由来するそうでありますが、こういう名前は一度覚えますと印象が強くて忘れません。

この幕、現在では葬式などの弔い事にもっぱら使用されますが、日本では古来弔事には白を用いていたのが、江戸に入り「弔事=黒」という西欧文化の影響を受けて、現在に至っているようです。皇室などでは慶事にも鯨幕が使用されているそうです。

じゃあ翻って「鯨」は何で「くじら」って言うんだろうと考えていたら、新聞に「鯨の語源は『クロシラ(黒白)』からきたというのが定説である」なんて書かれておりまして、じゃあ堂々巡りじゃねえか、と思った次第であります。

それから、「鯨」っていう字ですけどね、なんで「魚へん」なんだよ、って思いません?ありゃあ哺乳類だろうがよ~。でも、古名は「勇魚(いさな)」ともいったようで、みんな超でかい魚だと思っていたんでしょうね。

それはともかく、旁の「京」はねえだろうよ。鯨は海の生き物でありまして、京(みやこ)には住んでおりませぬぞ。と疑問に思っておりましたら、何と「京」は数字の単位「千、万、億、兆」の次の「京(けい)」から来てるんだそうです。つまり、とてつもなくでかいということを「京(けい)」の字に込めたんですね。

魚かと思っていたら哺乳類、都かと思ったら大数、白かと思えば黒、鯨にはそんな「黒白」的な要素がついて回るのかもしれません。知能が発達しているからという理由で、捕鯨が著しく制限されているようですが、世界中でヘルシー食品として魚のすり身(練り物)の需要が高まっており、鯨肉はその大きな供給源として期待できるそうです。(「魚食文化の系譜」雄山閣)

自らの欲望のためには価値観を白から黒へ簡単にひっくり返す。そんな欲深な人間によって再び堂々と食用に供される日が来るかもしれませんね。

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