日石の時計

テーマ:油甚本店
かつては高級品の代名詞でもあった時計。しかし、その時計が時を刻んでいくうちに、現在では「時間を知る」だけの目的なら信じられないような値段で時計が手に入るようになりました。

店の間に掲げておいた掛時計がこわれました。大した高級品でもなく、修理するくらいなら新しいものを買おうか、いや頂き物で使えそうなやつはなかったかな?と思案しているうちに、そうそう確か昔使っていた「日石の時計」がどこかに置いてあるはず、と思い出しまして物置を探しましたら、ありました、ありました。

「日石の時計」とは、昔日本石油から頂いた正方形の振り子式柱時計で、中央上部にかつての日本石油のマークであった「こうもり印」が赤く印刷されているものです。早速、ほこりを取り払い、番頭さんに頼んで店の間に設置してもらいました。

ところが、時間がとても遅れたり、垂直状態が保てないためか振り子がすぐ止まってしまったりと思うようには参りません。しかし、捨て置くにはあまりに惜しい逸品ですので、この際オーバーホールをしてもらうことに決しました。

幸いすぐ近所に一級時計技能士の渡辺時計店さんがございます。店内にはいくつも珍しい柱時計が飾られており、本物をできるだけ大切に使いたいと古い高級柱時計の修理を依頼されるお客さんも結構いらっしゃるようです。

という事で、昨年末に無事オーバーホールされて戻ってまいりました「日石の時計」。

昔のぜんまい時計の音って何であんなに落ち着くのでしょうか。まろやかに包み込むような時の刻み方です。そして何と言っても定時に打たれる実に荘厳な鐘の音。

「SEIKOSHA」と書かれております。立派なセイコーの時計であります。背面に板を張って垂直を保てるようにして下さり、「何かあったらいつでも」とおっしゃる渡辺時計さん。最後に「これ絶対に売ってくれて言うてきょーるやついますけどね、絶対に売ったらあきませんよ、値打ちもんですから」と言われました。

「八日巻き」といって八日に一度、ねじを巻く必要があるそうで、季節によって進んだり遅れたりして電波時計のようには参りませんが、「油を売る」店にはちょうどいいかもしれません。「古い時計で新しい時を刻む」。自分自身にもねじを巻いて行きたいと思います。


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