初代甚助肖像

テーマ:油甚本店
あけましておめでとうございます。新しい年が始まりました。昨年はとうとう一日も欠かさずブログを更新することができました。これも皆さまのおかげと感謝を申し上げる次第であります。

さて、我家ではお正月に床の間に飾る掛軸は、昔から「初代甚助肖像」と決まっておりまして、元々は掛軸などに興味もなかった私でも、子どもの頃からの習い性と申しましょうか、父の没後こちらに帰って来てからも、お正月にはこの掛軸を掛けるという行動を自然と行なっていたように思います。

肖像の上に字が書かれております。こういう達筆はなかなか判読できないのですが、読める字を断片的につなげますと、勤勉で信心深いというようなことが書かれているような気がいたします。

どうでしょうか、このお顔。うちの座敷には、この曽祖父を中心に祖父と父の写真3枚が掲げられているのですが、私自身はこの曽祖父に最も顔が似ているかもしれません。掛軸の箱には、祖父の手によるものでしょうが、いきなり「厳父」なんて書かれております。

しかし、伯父が残している文章によると、初代甚助は、晩酌を楽しみにしており、頭のはげをなぜなぜ、ニコニコとご機嫌で、自分の妹が遊びに来ると「そんなとこに居んとこっちへあがらっしゃい」と言われるのが常で、世間の人からも「仏甚さん」と呼ばれるほど温和な人だったようです。

従って、後継者である自分の息子だけには厳しい人だったのでありましょうか。いや、もしかすると「自分自身に厳しかった父」のことを、祖父は尊敬の念を込めて「厳父」と表現したのかもしれません。

現在の自分達が居られる事を先祖に感謝し、そして代々受け継がれてきたこの家の、この店の伝統を毎年繰り返し確認する儀式として、今後もずっと引き継いで行きたい、そして引き継いで行ってほしいと願います。

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