痩老蕾稀

テーマ:まちづくり
昨晩は長浜専門店会の例会で夜間盆梅展の鑑賞に慶雲館へ。盆梅展は昼・夜とも数回鑑賞に来たことはありますが、今回は自称「花咲おじさん」、別名「盆梅のプロ」「盆梅博士」の小川さんに解説をお願いして会場を回りました。


奇しくもこの日、滋賀夕刊紙の「時評」欄で押谷主筆が「慶雲館の盆梅を称える」という題で格調高い名文を披瀝されておりましたが、「いつ見ても心の洗われる清澄さと、春を忘れぬ古木の生命力に感嘆する」の感想は万人共通のものでありましょう。

さて桜は満開を愛で、パッと咲いてパッと散る潔さに日本人は心を打たれます。これに対し、梅の魅力は「痩老蕾稀(そうろうらいき)」という言葉で表される、と小川さん。「梅は痩せて老いた幹に趣があり、これから咲こうとする蕾や、一分・二分咲きの時に美しさがある」という意味なのだそうな。

再び押谷さんの時評に戻ると、「梅は古来、めでたいものの象徴とされるが、それは皮一枚に痩せこけても歯をくいしばり、生き続け、咲き続けることへの称賛とあこがれであろう」。そして「そのたたずまいが古武士の風格を思わせ」、「畳の大広間で春を誘う慶雲館の盆梅こそ世界に誇るべき文化遺産かもしれない」と結ばれています。

たまたま専門店会の集まりだったわけですが、私は痩せこけても歯をくいしばり生き続ける梅の姿に、われわれ専門店の姿を思わず投影してしまいました。桜(大企業、大型店)のような派手さはないけれど、小さくとも古木になるまで花を咲かせ続ける梅こそ、我々の目標とする姿ではないかと。

とは言うものの、盆梅の手入れ、搬出入等小川さん他大勢の方々のご苦労と支えがあってこその盆梅展。日頃のご尽力に心より敬意を表します。来年は是非、教育委員会でも夜間盆梅展の鑑賞を提案してみようっと。

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