さがみ

テーマ:曳山・歌舞伎
早いもので、もう今晩は線香番。曳山祭総当番による芝居の時間計測が行なわれます。長浜の場合、40分以内に収めることが求められ、どの町も最後の詰めに腐心しているところだと思います。

腐心しているといえば、浄瑠璃を語る我々も日々悩みながら細かいところの調整を行います。浄瑠璃の場合、間と節が肝心で、これは指摘されればなるほど自分でもおかしいと自覚することはできます。

困るのがいわゆる「訛り」。今回も、三役塾の稽古では「ま、こんなもんでしょ」と一応OKサインが出たものの、いざ振付の先生に聞いてもらいましたら、「そこ訛ってるよ!」と。

指摘された時は「あ、なるほど」と思うのですが、いざそれをいう段になると「あれ、どっちやったっけ」となり、考えれば考える程混乱します。本来浄瑠璃は上方のイントネーションが正式なのですが、長浜は言語的にも中途半端な地域ですので、例えば「あめ」や「はし」などの発音は、どっちだっけと迷います。

今回苦戦しているのが「相模(さがみ)」のイントネーション。相模というのは熊谷次郎の妻の役柄。芝居は「♪相模は、障子押し開き」という浄瑠璃で始まるのですが、ここの「さがみ」のイントネーションを間違うことはありません。

問題は、芝居の途中で「♪相模は夫の袂をひかえ」とか「♪相模見るより」など、節をつけずにあっさりと「さがみ」をいう場合。どうしても、「が」を強めに言ってしまうのです。で、「それは蕎麦屋のサガミやがな」と注意されるわけです。

そう、どちらかというと「さ」にアクセントがある「さがみ」でないとダメなんです。どうやっても納得できる「さがみ」が言えませんので、トイレでしゃがんで考えこんでしまいました。

そして、「そうだ!」と思いついたのが、「差が3」。差が「み(3)」だと思いながら「相模」を言うとほぼ間違えなく言えることに気がついたのです。ま、本番でも上手くいくかはわかりませんのやけど。

てなことを考えてやっていたら、「太夫さん!♪お役に立ったも因縁かや」のところやってみて。どうやら、「お役」が「お焼き」のイントネーションになっていたらしい。あ~ぁ、いつまでたってもお役に立ちませんな。

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